わたしは、大人げなく、誠士の胸に飛び込んでいた。
Beautiful ladyは舌打ちして、どこかへ消えてしまったけど。
親愛なるお店の人たちは、拍手でわたしたちを見守っている。
数ヶ月後————
「ふぁ、ねみぃ」
「誠士、起きて〜エッグベネディクト出来たよ」
「いいぢゃん、今日は寝ようよ、サタデーだよサタデー」
「あ、そうか」
がぶっと私を包んでくれる人。
「ふぁ、やっぱり朝は——、二度寝が好きー!」
そう、ありのままのわたしを見てくれていた人。
苦手な朝も苦手なまま、一緒に楽しんでくれる人。
でもね、愛される努力も惜しまないこと。
そう簡単に、苦手な朝は克服できないけど、この人との朝は、ずっと楽しめそうです。
終わり
(この小説の連載は今回で終了です。毎日お読みいただき、ありがとうございました!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。