「はっ」
びくっとして、いつもの動きをする私。あれ、今日はこの動き二回目のような・・・なんだか、光の明るさが強い・・・。案の定、時計の針は9時を指していた。
「これは本当にやっばーい!」
早起きしても二度寝したら意味ない。とっさに考える。
「すみません、寝坊しました」 ———ダメだ、直球すぎる
「母が体調不良で急遽田舎に向かっています」 ———ウソすぎる
「昨日眠れなくて睡眠薬を飲んだら」 ———暗すぎる
「体調が悪く連絡が遅れましたが、午後には出社できそうです」———うん。やっぱりこれが妥当か。
連絡を済ませて事なきを得ると、フル稼動させた脳に酸素を送りこむように、ゆっくり深呼吸した。
誠士のこと、ちょっとでも気になったわたしへの罰だ、なんて変な言い訳をしながら、スマホを手にした。せっかくの時間だし、朝ごはんでも作ろうかな。スマホで検索すると朝ごはんレシピページが出てきた。冷蔵庫にある食材で検索。
「わ、おいしそう!」
作って誰かに食べてもらいたい。
何かが変わる、そんな気もした。
あれ? LINEにアテンションがついてる。
誠士だ。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。