今日のカフェボンボンは、『ベイツ教授の受難』。
英国の人気作家・デイヴィッド・ロッジのコミック・ノヴェル。テーマは「難聴」。引退した言語学教授を主人公に、難聴が引き起こす珍妙な誤解やトラブルをコミカルに描きます。
『ベイツ教授の受難』
著者:デイヴィッド・ロッジ/訳:高儀進
出版社:白水社
難聴のせいで社交生活も楽しめず、刺激のない生活を送るベイツ教授。そんな教授に仕掛けられたのは、小悪魔的な女子大生の甘いワナ。これがドタバタ喜劇の始まりで……。
実は著者自身も難聴になり、主人公と同じような道をたどってきたそうで、難聴が本人にもたらす苦悩や葛藤、次第に広がる家族や友人との距離感が、とてもリアルに語られています。
ベイツ教授同様に耳が遠い父親とのとんちんかんなやりとりはロッジの真骨頂。難聴と老いというデリケートなテーマを扱いながら、心に温かな読後感が広がる作品です。
大学を舞台にしたロッジの作品では『交換教授』が最高に面白い。こちらはお互いのポストを交換した英国とアメリカの教授が、妻も交換するハメになってしまう、皮肉のきいた物語。そちらはまた別の機会に!
Love, まっこリ〜ナ