[あしたの朝ごはん]第23話:ミニスカート

 

(この物語のあらすじ)

フリーライターの莉子は、店主のハルコさんおいしい朝ごはんを作る「カフェ あした」の常連客。東京から遠く離れた架空の小さな街・夢野市で、愉快な人びとや魅力的な食材が出会って生まれる数々の出来事。

そんな日常の中で、主人公の莉子が夢をかなえる鍵を見つけていきます。第4週は「あなたの夢はなに?」。

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第23話:ミニスカート

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(第4週:あなたの夢はなに?)

「遥ちゃんはスタイルいいよね。ミニスカートなんかすっごく似合ってる。おばさんもうそんな格好絶対できない」

なぜか小学生に媚を売ってしまうわたし。遥ちゃんはそれほどまぶしい存在なのだ。

「わたしなんて全然いけてないですう。スタイルいい子いっぱいいますよ。もっと痩せたいのに、うちはママがうるさいから」

「だから倒れちゃったんじゃないの。ちゃんと食べなきゃだめよ」

「ママは食べろ食べろって、いつも同じことしか言わない。どうしてなんでも命令するの」

やりとりがヒートアップしそうなころあいで、ハルコさんが助け舟を出してくれた。

「お待たせしました。ね、遥ちゃん、一度これ食べてみて。ダイエットをしてるあなたにおすすめしたくて作ってみたの」

ハルコさんは白いお皿を運んできた。丸いパンケーキが2枚のっている。さっきから漂っていた甘く香ばしいにおいはこれだったのか。

シロップの入った陶器の小さな入れ物と、ナイフとフォークもある。

遥ちゃんは、ごくりとつばを飲み込んだ。

「おからのパンケーキなの。今日、お豆腐と豆乳を買ったお店で分けてもらったおからがたくさん入ってるわ」

「パンケーキって太りますよね」

遥ちゃんはお皿を横目で見ながら強がりを言う。由美はあきれたという表情をして、

「せっかく作ってもらったのに。じゃあ、ママがいただくわ」

と皿を引き寄せようとした。ハルコさんは、大人の分も、ともう2皿出してきた。

「朝ごはんがきちんと食べられるのは健康の証なのよ。食欲がない朝は、どこかからだの調子が悪かったり、前の日にお菓子や体に悪いものを食べ過ぎていたり、生活の乱れがあるかもしれないわね。

と、お説教はこの辺にして、朝ごはんは健康のもとだと思って、しっかり食べてね」

「食べなきゃまた倒れるわよ」

遥ちゃんは由美の言葉を合図とばかりに、「いただきます」と食べ始めた。

(明日の朝につづく)

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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

★この物語の登場人物
波多野莉子(はたの りこ)・・・一人暮らしのフリーライター。30歳。夢野市で生まれ育つ。
ハルコ・・・朝ごはんだけを出す「カフェ あした」の店主。34歳。莉子に慕われている。

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朝の小説「あしたの朝ごはん」

毎朝更新。朝ごはんがおいしいカフェを舞台に、主人公が夢をかなえていく日常をつづるストーリー。
Written by

松藤 波

松藤波(まつふじ・なみ)
小説好きが高じて、家事のかたわら創作をする30代の主婦。好きな作家は田辺聖子、角田光代。家族がまだ起きてこない朝、ゆっくりお茶を飲みながら執筆するのが幸せなひととき。趣味は読書と、おいしいランチの店を探すこと。

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