[あしたの朝ごはん]第5話:おいしさの秘密

 

(この物語のあらすじ)

フリーライターの莉子は、店主のハルコさんおいしい朝ごはんを作る「カフェ あした」の常連客。東京から遠く離れた架空の小さな街・夢野市で、愉快な人びとや魅力的な食材が出会って生まれる数々の出来事。そんな日常の中で、主人公の莉子が夢をかなえる鍵を見つけていきます。

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第5話:おいしさの秘密

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(第1週:おいしい朝ごはんをもとめて)

「それは光栄です。どうもありがとう。料理の腕じゃなくて、食材がいいのよ。はい、お待ちどうさま」

「わー、いただきます」

白い丸皿のうえに、食パンが2枚並んでいる。バターを塗った食パンの表面がテラテラと輝いている。

耳の部分を親指と人差し指でつかみ、口に入れる。パンの甘みと、バターの塩気が混じりあう。その具合が絶妙で、一口ずつ食べるごとにスピードが速くなり、あっという間に一枚を平らげてしまった。

横で出番を待っていた、黄金色に透き通って光るはちみつと、赤黒い苺ジャムも使わなくちゃ。さいごにとっておこう。

続いてサラダ。この店の野菜はとてもみずみずしい。

細かくちぎられたサニーレタスとオニオンスライスが透明のお皿のなかで水滴をつけてみずみずしく輝いている。粉チーズと黒こしょうがきいたフレンチドレッシングがかかった野菜をフォークで差すと、レタスの繊維を突き抜けるシャキッとした音が響く。

たまねぎのほろ苦さとレタスが口いっぱいに広がる。野菜ってどうしてこんなに甘いんだろう。

半熟卵の黄身は濃厚で、舌に乗せると口いっぱいにまったりした味が広がる。

そして、苦みがなく飲みやすいアメリカンコーヒー。

ふう、おいしい。しあわせ。

お米じゃない朝ごはんもこんなに素晴らしいって、冒険してみて分かったこと。

「カフェあしたの食材が良いってどういう意味ですか」

「莉子ちゃん、地産地消って言葉、知ってる?」

「はい、地元で採れた野菜とか果物とかを、地元で消費するって考え方ですよね」

「そう。うちのお店で使う食材はできるだけ夢野市産を使っているの。近所で採れた旬のものをおいしくいただくのがお店のコンセプト」

夢野市で生まれ育ったわたしは、地元でどんな食べ物が取れるのか、作られているのか、それほど関心を持ったことがなかった。

「たとえばこのパンはね、天然酵母を使っているんだけど。ニンジンとかリンゴとか、野菜や果物を発酵させてつくった酵母液でパンを膨らませるの」

(明日の朝につづく)

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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

★この物語の登場人物
波多野莉子(はたの りこ)・・・一人暮らしのフリーライター。30歳。夢野市で生まれ育つ。
ハルコ・・・朝ごはんだけを出す「カフェ あした」の店主。34歳。莉子に慕われている。

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朝の小説「あしたの朝ごはん」

毎朝更新。朝ごはんがおいしいカフェを舞台に、主人公が夢をかなえていく日常をつづるストーリー。
Written by

松藤 波

松藤波(まつふじ・なみ)
小説好きが高じて、家事のかたわら創作をする30代の主婦。好きな作家は田辺聖子、角田光代。家族がまだ起きてこない朝、ゆっくりお茶を飲みながら執筆するのが幸せなひととき。趣味は読書と、おいしいランチの店を探すこと。

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