[あしたの朝ごはん]第51話:草木の茂る森の家

(この物語のあらすじ)

フリーライターの莉子は、店主のハルコさんおいしい朝ごはんを作る「カフェ あした」の常連客。東京から遠く離れた架空の小さな街・夢野市で、愉快な人びとや魅力的な食材が出会って生まれる数々の出来事。

そんな日常の中で、主人公の莉子が夢をかなえる鍵を見つけていきます。最終週(第8週)は「種をまく」。

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第51話:草木の茂る森の家

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(最終週(第8週):種をまく)

「まあまあ、落ち着いて。ただのぎっくり腰だから」

ぎっくり腰……。そう聞いて、わたしこそ腰の力がへなへなと抜けてへたり込んでしまった。

ケイさんが教えてくれた住所は、自宅の窓から見えた虹のふもとの方角だった。小さな夢野市のこと、自転車さえあれば街中を行き来できる。

スマホに住所を登録してきたものの、ハルコさんの家にたどり着くのは一苦労だった。

田植えをしたばかりと一目で分かる、か細い水稲が風にそよぐ田を越えて、でこぼこのあぜ道を自転車で走る。

さっきまでの雨で少しぬかるんでいるけれど、雨粒が乗った青葉がみずみずしい。道の両脇を流れる側溝には水が勢いよく流れている。

水田を通り抜け、竹や杉がうっそうと茂った雑木林のような一角を通り過ぎ、レンゲ畑も通り過ぎた。

スマホは「目的地に到着しました」と表示するけれど、周りには似たような家が何軒もあって、どれがハルコさんの家なのか分からない。黒いかわらの屋根の蔵のような家や、年季の入った白壁の家など、古い民家が建ち並ぶ。

「莉子ちゃーん、こっちこっち!」

声が聞こえて振り向くと、縁側の窓ガラスを開け放して、たたみに寝そべって顔を出しているハルコさんが見えた。

庭と呼べばいいのか、広すぎる空き地と呼べばいいのか、玄関の入り口には、名前も知らない野の花が咲いている。

ピンクや紫、黄色と、鮮やかさにうっとりする。特別に植えた花ではないことが何となく分かる。自生しているのだろう。野生の庭という感じだ。

玄関はガラガラと音の鳴りそうな引き戸だった。懐かしい感じ。

広い玄関に入ると、木のにおいとひんやりした空気が流れてきた。玄関といっても、わたしが使っているベッドが入りそうなほどだだっ広い。

木目の見える木の壁に、銀色のメダルがかけられていた。

なんだろう?

近くで見ようと思ったとき、「そのまま入ってきてねー」と呼ばれた。「はーい」と答え、靴を脱いで、お邪魔することにした。

使い込まれた梁や柱が頑丈に骨組みを守っていて、安心感がある。家屋は古そうだけれど、インテリアや小物のデザインはかわいらしくておしゃれで洗練されている。

ハルコさんが腰に手を当てながらゆっくり歩いて出てきた。Tシャツにスウェットのパンツ。ラフ過ぎる格好に驚きつつも、知らなかったハルコさんの一面を見られるのがなんだかちょっと得した気分。

「莉子ちゃん、わざわざごめんねえ。あいたたたた……」

(明日の朝につづく)

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ハルコさんはぎっくり腰だったのですね…ハルコさんには気の毒ですが、莉子にとっては、大好きなハルコさんとさらに近づけるきっかけとなって、ちょっとラッキーだったかも!?

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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

★この物語の登場人物
波多野莉子(はたの りこ)・・・一人暮らしのフリーライター。30歳。夢野市で生まれ育つ。
ハルコ・・・朝ごはんだけを出す「カフェ あした」の店主。34歳。莉子に慕われている。

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朝の小説「あしたの朝ごはん」

毎朝更新。朝ごはんがおいしいカフェを舞台に、主人公が夢をかなえていく日常をつづるストーリー。
Written by

松藤 波

松藤波(まつふじ・なみ)
小説好きが高じて、家事のかたわら創作をする30代の主婦。好きな作家は田辺聖子、角田光代。家族がまだ起きてこない朝、ゆっくりお茶を飲みながら執筆するのが幸せなひととき。趣味は読書と、おいしいランチの店を探すこと。

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