「え・・・裕也?」
あまりにびっくりして、センチメンタルな気持ちも一瞬で吹き飛んだ。
「久しぶりって言葉じゃ済まないね」
「ほんと、何から聞いていいか分からないよ」
「元気してた?」
「うん、裕也は、なんだかスリムになったよね」
「あれから20kg減量して。奈美は・・・」
「いいよ、途中まで言ってやめないでよ」
そう、私はあの頃から15kg増えた。
思い出した、私はいま落ち込んでいる。失恋とデブ呼ばわりのダブルパンチだ。裕也の前で深いため息をついてしまった上に、びしょ濡れ状態の私は、流石に先ほどの状況を説明しなくてはならなかった。
ソーダ水を少し口に含んだ後、怪訝な表情をしている裕也に話し始めた。
「あのさ、裕也」
(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。