学生時代ぶりのショートはとても新鮮で、急に1枚の写真を思い出した。3人の友人とともに、地方の大学から出てきたときのものだ。
東京駅で写真をとって、それぞれの下宿先に向かったときのもの。とっても好きで、現像して持っていた。
ショートカットだった私は、広告代理店の一般職に就職し、まわりの女子力の高さに驚き、手始めに髪を伸ばし始めた。
そういえば、あの写真どこにあるんだろう?思えば3人の友人とも、半年くらい会っていない。
3人とも、私と会っている暇なんてない、か・・・。少し感傷的になっていた。
優しい声が聴こえてきた。
「ショートは正解だったね」
(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。