【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】1章「裏通りの午後」Vol.5 意外な声の主

 

vol5

嘘、でしょう?

デブ、は明らかに私のことだ。

それもショックだけど、あれだけ優しい慶太さんから、女性に対する乱暴な言い方がショックだった。

我に返り、「すいません!」と大声をあげスマホを手にするまで、そこに立っているのが精一杯。逃げるようにその場を去り、石畳の通りをバタバタを走り抜け、普段ならタクシーに乗る公園までの道のりを駆け上がった。

ポツポツ

小さなしずくが私の頬を流れる。

これは、雨、だ。

スコールのような雨が降り始めた。それは今の私にとっては幸運の雨だ。

足はいつもの動きを覚えている。ずぶ濡れのまま、「ドルフィン」に足を運びカウンター席につく。

「マスター、ソーダ水」

「ひょっとして、奈美?」

意外な声が右側から聴こえてきた。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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Nice to meet you!

朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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