「わたし、プロポーズされた」
いつになく早い返信だった。
びっくりなっしーのスタンプで。
「まだ返事してないけどね。雪乃はあの後、藤井君とどうだったの?」
雪乃は、聞いて欲しかったかのように、ものすごいスピードで、メッセージを送ってきた。
2人でバーに行き、懐かしくて色々話をして、その成り行きで———。
2人が訪れたというバーは、私の憧れの場所だった。
何でも大切にとっておけばいいってものじゃない。
雪乃はまだ話したそうだったけど、途中でおやすみのスタンプを送った。
誠士がいなかったら、かなり落ち込んだけど、なんとか大人のフリをすることができた。
こんな時に甘えるのは反則だけど、誰かに甘えなくては今日を終われなかった。だから、「おやすみなっしー」とだけ送った。誠士に。
誠士は、ハートを送ってきた。
ちょっとずつ、誠士とのこと、前向きに考えよう、そう言い聞かせてアプリの起床時間設定を30分早めた。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。