【朝の恋愛小説:やっぱり朝は二度寝が好き 】 Vol.20 彼のこころはどこにある?

 

【朝の恋愛小説】 Vol.20 彼のこころはどこにある?

「裕太と飲んでやってくれよ」

わたしが動揺を隠すように無表情を続けていると、裕太が私を覗き込んでくる。

「うん、いいよ、口座作ってくれたお礼もしなきゃだし」

また大人のフリをした。

心は落ち込んでいるが、明るく

「またね、ばいばーい」

去っていく2人に手を振る。

雪乃の顔は見えなかった。
いや、見なかった。
大人でいるために、そうした。

裕太は本当にいい子だ。ずっと気遣ってくれて、笑顔で明るくって。

「だからね、腹直筋をちゃんと使うためには、腕をしっかり締めてないとダメなんですよ。
それがなっかなかできないんですけどぉ、倫太郎さんは、最初っからできたんすよ」

倫太郎というワードにいちいち反応してしまう。

「あのひと、パーフェクトっす。年収もあれは、億いってますよ、だけどね、ヒック、倫太郎さん、ヒック」

「ちょっと飲み過ぎだって」

「女の人にだけは恵まれないんですよ、ヒック」

「え?」

「高校の時の彼女が忘れられない、ヒック、って、ヒック」

え、それって―——。

(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)

 

>> 続き(Vol.21)を読む

<< 前回(Vol.19)を読む

 

物語の登場人物

立川萌乃(もえの) 28歳

静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。

新城雪乃(ゆきの) 28歳

萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。

藤井倫太郎(りんたろう)28歳

萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。

木村ことみ 28歳

萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。

柳原誠士(せいじ)28歳

萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。

近藤裕太(ゆうた)24歳

萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

連載記事一覧

今日の朝の人気ランキング