翌日の朝。
ものすごく早く起きた。
アプリはまだ起動していない。
みじめな時って、寝ていられないのだと知った。
知らない方が良かった。
あの後2人がどうなったかなんてことより、何も知らなかった自分が滑稽だった。
LINEのアテンションの数字は30を超えているけど
開くのが怖くて、そのままシャワーを浴びた。
ちょっとだけツイているのは、
今日が雨であることだ。
気分と天気は合っていた方がラクだ。
黒いスキニーのパンツと長靴でいいや、
ちょっと頑張れてなくても、許されるのが雨だ。
重い気持ちでLINEを開くと、雪乃、藤井君、裕太と私のグループが出来ていて、
昨日は楽しかった、ありがとう、
というスタンプが、いくつもやりとりされていた。
そこでまた、傷ついた。雪乃がスタンプを使っていたからだ。
グループとは別に、藤井君個人からメッセージが届いていた。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。