連載「教えてユミ先生!睡眠のお悩み解決室」では、気持ちのいい朝に欠かせない「睡眠の悩み」を解決するヒントを、日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクターの竹内由美さん(ユミ先生)に教えていただきます!
今回のお悩みテーマは…「妊婦さん&産後ママの寝不足解消法」~前編~
妊娠中はつわりで眠れず、出産直後は赤ちゃんの夜泣きや授乳で、とにかくいつも寝不足…。「仕方ない」と割り切ってはいるものの、笑顔で育児を続けるためにもたまにはぐっすり眠りたい!妊娠中や産後の寝不足を解消するヒントは?
待ちに待ったかわいい赤ちゃんの誕生。出産は母としての時間が始まる、人生の大切な瞬間ですよね。
でもそんな出産を境に変わるのは、家族構成や生活だけではありません。お母さんの体や心にも大きな変化が訪れます。赤ちゃんの夜泣きや授乳で眠れず、体力がどんどん消耗。疲れやストレスは日に日に増していきます。
今日の記事では、出産前後のママの体の変化や、睡眠が大切な理由をご紹介します。
産後だけじゃない!「妊娠後」から睡眠が大切な理由
妊娠から出産までの10ヶ月で、ホルモンバランスは劇的に変化します。妊娠前期は、女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が増加。このホルモンの作用により、眠気を感じやすくなります。
身体を休めて新しい命を育む時間とも言えますが、つわりがひどい場合は逆に眠れなくなることも。またこのホルモンは体温を高くする作用もあることから、眠たいのに眠りにくい(深部体温が低くなると眠りやすくなるため)というジレンマ状態に陥る妊婦さんも多いと言われます。
その後、妊娠中期は比較的安定しますが、妊娠後期に進むとお腹が大きくなるため、腰痛が起きやすく寝返りがしにくくなります。また、膀胱が圧迫されて頻尿になることもあり、中途覚醒が増えることがあります。
そして出産後は、通常の何倍も増えた女性ホルモンが激減。一時的に更年期と似た状態となるため、自律神経が乱れ、睡眠の質が低下するだけでなく、精神的に不安定になってしまうことも。これがいわゆる産後うつ(マタニティブルー)といわれる状態です。初産の場合は特に、慣れない子育てと母となった責任感からストレスが増えやすいと言われているの注意が必要です。
また、出産前から睡眠不足になっていた人ほど、この産後うつに陥りやすいとも言われています。
出産前から「産後うつ」を防ごう
このように、出産前後のママの体は大きく変化します。その変化について、本人はもちろんパパにも理解してもらうことが重要。
産後の睡眠時間を確保する以前に、産後うつや体調不良を防ぐためにも、妊娠が分かった時点からパパにも協力してもらい、睡眠を大切にするよう心がけましょう。「つわりだから仕方ない」とあきらめず、医師に相談するなどしてできるだけ眠れるように意識してみてください。
休める環境づくりを大切に
現代の女性は男性同様、妊娠中も産後も仕事をするのが当たり前になりつつあります。男女平等は悪い事ではありませんが、妊娠と出産は女性の体に大きな変化をもたらします。このことに関してもすべて平等、というわけにはいきません。
母になったことを心から幸せと感じられるようにするには、睡眠を大切にした規則正しい生活とバランスのとれた食事、そして、パパや周囲の人の「妊娠・出産する女性の体は普段とは違う」という理解と協力が必要です。
産休で休むことになるからと、引継ぎで残業続き。パパは仕事があるからと、産後は24時間一人で子育て…それではママの体と心はパンクしてしまいます。
夜泣きや授乳はママの仕事、と決めずに、パパも積極的に担当をして、ママが疲れた時は休めるような環境づくりを心がけましょう。
後編の記事では、産後にママが眠るための具体的なヒントをご紹介します!
☆後編は、10月29日(木)朝4時に公開予定です。