今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『バスを待って』。
さまざまな季節、いろいろな場所を走る路線バスの乗客をめぐるストーリー。ゆっくりと流れる時間が心にやさしい短編集です。
みんな何事もないように見えるけれど、きっとそれぞれあるんだろうな。仲良くおしゃべりしてるおばあさんたち、赤ちゃんを抱いたお母さん、部活帰りの高校生にも。バスに揺られながら、乗り合わせた人たちのことを思います。
じっと窓の外を眺めながら、泣きそうな心を抱えている人もいるかもしれない。バスといっしょに揺れる気持ちを、石田千が鮮やかに描き出す。一番後ろの席で涙が止まらなくなったひと、「あせっても、しかたわないわ」と降車ボタンを押すひと。ゆっくりと流れる車窓からの風景が乗客をやさしく包み込みます。
私がとくに好きなのは、お持ち帰りのカレーを持った男が乗ったバスの話「スパイス国行き」。バスに漂うカレーの匂いに、みんなのカレーへの熱い想いが呼び覚まされて……。バスとカレーが巻き起こすちょっと楽しいハプニングです。
明日は路線バスにのってのんびりいこう。いつもの見慣れた景色が少し違って見えるかもしれません。
『バスを待って』
著者:石田千
出版社:小学館
Love, まっこリ〜ナ
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