今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『きなりの雲』。
恋人から別れを告げられた女性が、かけがえのない日々をとり戻していく。石田千の心にしみる長編小説です。
『きなりの雲』
著者:石田千
出版社:講談社
葉をみせて。恋を失ったさみ子が、水栽培のアボカドに話しかける。恋と一緒に生きる力も失った。ほとんど食べることも忘れた。体は悲鳴をあげていた。
もうじゅうぶん。そう悟ったさみ子はほんの少しずつ日々の暮らしへと戻っていきます。止まっていた時間を巻き戻すのではなくふたたび進めるために。
古いアパートの屋上で、葉を伸ばし始めたアボカドを鉢に植える。休んでいた編み物教室を再開する。別れた恋人のことより昨日今日会った人たちを思い出す方が増えていると気づく……。
編むひとが手を使うことで日常をとり戻していく。傷ついた心はなかなか癒えないけれど、ゆっくりとほどけていくさみ子の心がじんわりしみます。
編み物が大好きな私は、編み物のシーンを心ゆくまで楽しみながら読みました。やわらかくあたたかい毛糸を編むように、人の心をつないでいく物語です。さみ子さんのまわりにあるきらきらがまぶしい。
Love, まっこリ〜ナ
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「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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