今日のカフェボンボンの本棚は、『地下の鳩』。
西加奈子が大阪の繁華街ミナミを舞台に描く物語二篇。夜の街に生きる男女の人間模様がせつなく愛おしい。
『地下の鳩』
著者:西加奈子
出版社:文藝春秋
キャバレーの客引きの男・吉田は、ある雨の夜、スナックのチーママ・みさをに出会う。若い頃から女に好かれ、自分は四十でも若い、イケてる四十だとうそぶく男が、素人っぽさの残るみさをに惹かれていく。まるで「初恋に浮かれる若い男のように」恋焦がれる。
「地下の鳩」でみさをを描く時、著者の筆は冴え渡る。夜の街に生きるみさをがドキドキするほど魅力的なのだ。人懐っこく心の機微に敏感なみさを。「アー最悪やー、どないしょー!」なんて言われたら誰もほっとけない。
愛おしさであふれるふたりの気持ちに心が熱くなる。それぞれ背負ってるものも苦い過去もある。せつないなー。でも、ミナミで生まれたこの恋は、きっとホンモノの恋。
「タイムカプセル」は同じ界隈で店を営む名物ママを描いた心揺さぶられる作品。西加奈子さんの夜の街はビビッド。雨に濡れた夜のシーンがいつまでも余韻を残します。
こちらの本もおすすめです。
*『円卓』…関西を舞台に小学三年生の女の子「こっこ」の成長を描く感動作。
*『まにまに』…ハイテンションな日常生活を描いたエッセイ集。
Love, まっこリ〜ナ
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