それでも大事なものだけが、きっと残る。
雪乃には、改めて話すとだけメッセージして、わたしはまた勉強に集中した。
2週間後————。
はれて、フラワーアレンジメントのディプロマを取得した。
もっと嬉しいことがあった。
成績最優秀者に贈られるロンドン短期留学の権利を得たことだ。
雪乃とは1年ぶりに飲んだ。
泣きじゃくりながら・・・
というのはウソで、2人とも晴れ晴れとしていた。
女同士って不思議だ。
平気で裏切るくせに、団結力も半端ない。
雪乃が裏切ったことは、本当にショックだったけど、雪乃もひとりの女だったのだ。
そのことを深く知れたのは、ちょっと嬉しいことでもあった。
他の誰も知らない、雪乃の魔性を知っているのは私だけだ。でも、もう恋敵にはしたくない。
本音を言い合えた私たちは、確実に関係が変わった。前よりも深く。
「わたし、明日からロンドン行ってくる」
「あ、留学できるんだもんね。月末には帰る?」
「帰らないかもしれない」
「え、どういうこと?」
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。