【朝の恋愛小説:やっぱり朝は二度寝が好き 】 Vol.47 大事だと思い込んでいたこと

 

【朝の恋愛小説】 Vol.47 大事だと思い込んでいたこと

「やっぱり」

藤井君は、意味が分からないという顔をしていた。

「藤井君。ありがとう。ホントに好きだった。高校卒業しても、そうだ、ずっとアイドルだったんだよね。わたしも勝手に藤井君の偶像を作り上げていたみたい。ちょっと我を失ったけど、いまやっと分かった」

「着いてきて、くれないのか?」

「ここまで訪ねてきておいて最低だと思うけど、私にとって、本当に大事なこと、いまやっと分かりかけてきた」

藤井君には、手紙を書くと言って部屋を出た。いま、藤井君を目の前にして、冷静に話せる気がしないから。

 

人は生まれながらにして罪人だ。

孔子の言葉が痛いほど突き刺さる。

大事な人も、大事な思い出も、大切にしたい。しまって置けば、そのままでいられるのに。

けれど、蓋を開けなくてはならない時がある。

大事だと思っていたものが、姿を変えていることもある。

大事だと思っていたものが、壊れていることもある。

 

でもたいていのことは、蓋を開けた側が、勝手に見方を変えただけだ。

 

(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

立川萌乃(もえの) 28歳

静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。

新城雪乃(ゆきの) 28歳

萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。

藤井倫太郎(りんたろう)28歳

萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。

木村ことみ 28歳

萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。

柳原誠士(せいじ)28歳

萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。

近藤裕太(ゆうた)24歳

萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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