「萌乃さん、萌乃さん、いいんじゃない!」
はっとして、我に返った。
いつのまにか、アレンジメントができていた。
先生が嬉しそうに良い点を話している。他の生徒から拍手を受け、頭を下げるのだが、その頭の中は藤井君でいっぱいだった。
その帰り、LINEで早速雪乃に報告すると、早速空いてる日程が送られてきた。
さっき、ともだち登録したばかりの藤井君にも送信完了。
プロフィール写真に、子供や彼女らしき人が写っていないことも確認済だ。
付き合えるなんて思っていないけど、結婚しているとなるとショックを受けるものだ。
藤井君から、すぐに返信があった。
来週の藤井君のトレーニング後、ということになった。
ドキドキが止まらず、枕をぎゅっと抱えてしまうほど。
10年前の自分に戻ったみたいだ。
すると、枕の下に追いやられていたスマホが震えた。
雪乃かな? いや・・・誠士だ。
「ごめん、あの後忙しくなって。やっと落ち着いたところ。来週の木曜はどう?」
その日は、藤井君との飲み会の日だ。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。