「朝起きるのがつらい」
「なかなか寝付けない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」
など、睡眠に関する悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
睡眠の質は、生活の質、つまり人生の質に大きく影響します。深い眠りは、睡眠の質を高めて気持ちのよい目覚めへと導いてくれます。
今回は、眠りが浅い原因と、深く眠るための対処法をご紹介します。睡眠の質を上げて、朝から元気に活動できるようにしましょう!
【目次】
– 睡眠の仕組み・メカニズムを解説
– 眠れない…。睡眠を妨げる・浅くなる原因5つ
– 眠れない場合の基本的な対処法一覧
– より睡眠の質を高める方法9つ
睡眠の仕組み・メカニズムを解説
深い眠りにつくためには、まずは睡眠のメカニズムを知ることが大切です。睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。
また、人の体は「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれる、約24時間周期のリズムを持っています。この概日リズムは、睡眠の質に大きく影響します。
レム睡眠(体)・ノンレム睡眠(脳)を繰り返し休息する
睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を90〜120分周期で交互に繰り返すことによって行われます。
- レム睡眠:浅い眠りのこと。体は休息していますが、脳は活動している状態です。記憶の定着や思考の整理が行われています。夢を見るのはレム睡眠のときです。
- ノンレム睡眠:深い眠りのこと。脳が休息している状態です。成長ホルモンが分泌され、細胞を修復したり、免疫機能を回復させたりする役割があります。
深く眠るには、就寝から最初の90分で行われる「ノンレム睡眠」を重視することが重要とされています。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「ノンレム睡眠」
睡眠が深いと、体温が低下している(深部体温)
睡眠と体温には深い関係があります。睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美先生によると、人の体は深部体温(脳や内臓など中心の体温)が下がると眠りやすくなるのだそう。
つまり、深い眠りにつくには手足から放熱させて、深部体温を大きく下げることが大切です。手足が冷えている状態だと、放熱で体温が下がらず、眠りが浅くなってしまいます。
参考:ちゃんと寝たはずなのに…冬の朝起きるのがつらい理由って? by 睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美さん
睡眠はホルモンバランスが深くかかわっている
もうひとつ、睡眠と深い関わりがあるものが「ホルモンバランス」です。
寝るときに「メラトニン」と呼ばれるホルモンが分泌されるおかげで、人は自然に眠くなります。しかし、夜に強い照明の光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられて、眠気が引き起こされにくくなります。結果、深く眠れなくなってしまいます。
また、女性の場合、女性ホルモンのバランスが変化することで、日中眠気が強くなったり、反対に夜眠れなくなったりすることがあります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「メラトニン」
「眠れない…」睡眠を妨げる・浅くなる原因5つ
眠れないのにはさまざまな原因がありますが、主に考えられるものには以下の5つがあります。
【1】食事習慣の乱れ
甘い飲み物やデザート、加工食品などの過剰な摂取は睡眠の質が下がる原因となります
【2】日々の生活でのストレス
仕事や学校、人間関係によるストレスは自律神経の乱れを引き起こし、不眠の原因になります。
【3】生活習慣のリズムの乱れ
時差や交代制勤務、不規則な生活などの生活リズムの乱れは、体内リズムが崩れ不眠を招きます。
【4】病気
高血圧や心臓病・呼吸疾患・糖尿病・生活習慣病などの身体的な病気によって、不眠を引き起こすことがあります。うつ病などのこころの病気も不眠を伴うことがあります。
【5】ホルモンバランスの乱れ
女性は、月経前のホルモンバランスの乱れによって不眠を引き起こすことがあります。
眠れない原因は一つだけでなく、複数の要因が絡み合って起こることもあります。ご自身の眠れない原因を突き止めることが、深く眠るための第一歩といえるでしょう。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」「女性の睡眠障害」
眠れない場合の基本的な対処法一覧
深く眠る以前に、そもそも眠れないときの対処法をご紹介します。
【1】運動習慣を作る
適度な運動は睡眠の質を高めてくれます。ただし、寝る前の激しい運動は興奮して眠れなくなるため、寝る前は控えましょう。
【2】眠りを良くする食事を摂る
魚介類や鶏肉・乳製品・卵・大豆製品・バナナなど、睡眠ホルモンの一種「トリプトファン」を多く含む食事を日常的に取り入れましょう。
【3】リラックスする
寝る前に落ち着く音楽を聴いたり、読書・アロマ・ストレッチなどでリラックスして緊張をほぐしたりすると、眠りの質が高まります。
【4】睡眠の妨げになる習慣を減らす
夜にカフェインが含まれる飲食物を摂取する、喫煙する、寝る前にスマホやテレビを見ることは刺激となり、眠りを妨げます。
また、寝る前のアルコールは寝つきをよくしますが、睡眠の質が下がるため、控えましょう。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
より睡眠の質を高める方法9つ
寝れないのに無理に寝ようとすると、ますます眠れなくなってしまう経験は誰しもあるのではないでしょうか。眠れないときは、眠くなるまで別のことをすることも大切です。
ここでは、深く眠るための方法を9つご紹介します。
【1】入眠できる音楽を聞く
寝る前に好きな音楽を聴いてリラックスすることは、深い眠りに効果的です。
ただし、歌詞付きの音楽やアップテンポでノリのよい曲などは、返って脳が活性化されるため、寝るときには不向きです。小さめの音で、歌詞が入っていないスローテンポな音楽がよいでしょう。
参考:寝つきが悪い夜はどうすべき?専門家がアドバイス「快眠のための夜習慣」 by 睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美さん
【2】睡眠・リラックスのツボを押す
快眠やリラックスに役立つツボを押すと、深く眠りやすくなることも。
かかとの中央にあるツボ「失眠」は不眠解消に役立つと言われています。また、緊張や不安によって眠れない場合は、気持ちを落ち着かせる効果がある、頭頂部にあるツボ「百会」がおすすめ。
ただし、強く押しすぎるとかえって眠れなくなるため、気持ちがよいと感じる程度に抑えましょう。寝る直前よりも、寝る30〜1時間前にツボを押すのがおすすめです。
【3】就寝前のスケジュールを一定にする
寝る前のスケジュールを一定にすることは、深く眠るポイントの一つです。
体内時計には、寝る前から生理的な活動やホルモンの分泌を調整して、睡眠に備える役割があります。
休みの日だからといって、朝遅くまで寝たり、夜更かししたり、昼寝をしすぎたりすると、体内時計が乱れ、眠れない原因となってしまいます。
週末でもできるだけ同じ時刻に起床・就寝して、規則正しい生活リズムをつけるようにしましょう。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
【4】就寝前にNGの行動を決めておく
寝る前には、眠りの妨げとなる行動をしないように心がけておくことが大切です。深い眠りのために避けておくべき行動としては、以下が挙げられます。
- カフェインが多く含まれる食品を摂取する
カフェインには眠気を覚ます作用があります。コーヒーやお茶、ハイカカオチョコレートなどに多く含まれます。
- スマホやテレビ・パソコンなどを寝る直前まで見る
テレビやパソコン・スマホから出る光は脳を興奮させ、睡眠から遠ざけます。
- アルコールや喫煙
喫煙やアルコールは脳を刺激し、眠りの質を下げます。
- 部屋が明るい・明るい場所に行く
コンビニやスーパーなどの明るい照明は体内時計が乱れる原因になります。
- 熱いシャワーやお風呂に入る
交感神経が高まり、体が興奮・緊張状態になります。
参考:毎朝心地よく目覚めよう!よく眠るための「お酒との付き合い方」
平日の過ごし方がポイント!「休日の夜ふかし習慣」を解消する10のヒント by 睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美さん
【5】就寝直前に軽めのストレッチを取り入れる
筋肉の緊張がほぐれるように、寝る前に軽めのストレッチをすることも深く眠るのに効果的です。
筋肉の緊張がほぐれると、副交感神経が優位になり、自然な眠気につながります。また、血流も良くなり疲労が緩和される効果もあります。
ストレッチは、寝る前の15〜30分程度、ゆっくりとした呼吸を意識して行うとより効果的です。ただし、無理に伸ばそうとすると筋肉を痛める恐れがあるので、無理のない範囲で気持ちよいと感じる程度に留めることがポイントです。
ピラティストレーナーのTOMOKOさんがおすすめするのは、疲労回復に効くという股関節のストレッチ。
簡単にできてとても気持ちが良いので、寝る前の習慣に取り入れてみてください。
寝る前5秒!休んでもとれない疲れを解消する「股関節ストレッチ」 by ピラティストレーナーのTOMOKOさん
【6】香り(アロマオイル・ハーブティー)を取り入れる
アロマオイルやハーブティーなどのリラックスできる香りは、深い眠りを導きやすくしてくれます。
アロマオイルやハーブティーには、緊張や不安・イライラを鎮めるほか、自律神経や女性ホルモンのバランスを整える効果があります。
ただし、なかには覚醒作用を持つ香りもあるため、気持ちを落ち着かせるような効果のあるものを選びましょう。
快眠におすすめの香りには、以下が挙げられます。
アロマオイル
- ラベンダー
- オレンジスウィート
- ゼラニウム
ハーブティー
- ジャーマンカモミール
- レモンバーム
- セントジョンズワート
【7】寝具を自分に合ったものに買い替える
自分に合った寝具を使うことは、深く眠るために欠かせません。体に合わない寝具を使っていると、疲れが取れないだけでなく、睡眠の質の低下につながります。
以下のように、心も体も快適に感じる寝具を選びましょう。
- 自分の身体に合った高さや硬さ:身体への負担を少なくして、首や肩・腰・背中の痛み・こりを防ぐ
- 保温性・吸湿性・放湿性:精神的に不快にならない
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
【8】睡眠グッズを活用する
睡眠グッズを活用することは、深い眠りに導く手段のひとつです。睡眠グッズには、定番の抱き枕やホットアイマスクのほか、以下のようなものが挙げられます。
- 入浴剤:入浴でよりリラックスできる
- 間接照明やナイトキャンドル:部屋の照明が明るすぎるのを防ぐ(※)
- ナイトソックス:足が冷えて眠れないのを防ぐ
- いびき防止テープ:自分のいびきで夜に目が覚めてしまうのを防ぐ
- 耳栓:外の音が気になるのをシャットアウトできる
- ホワイトノイズマシン:騒音をかき消せる
ご自身の悩みや好みに合った睡眠グッズを探してみてくださいね。
※火傷や火事につながらならないよう、キャンドルは置き場所には注意しましょう
【9】睡眠アプリを活用する
睡眠アプリは、深く眠る方法として手軽にはじめられるツールのひとつです。ここでは評価の高い睡眠アプリを4つご紹介します。
熟睡アラーム 睡眠といびきを計測する目覚まし時計
眠りの浅いときにアラームを鳴らし、気持ちのよい目覚めをサポートするアプリ。いびきを録音するのでいびきが気になる方にもおすすめです。
cocorus
自然環境音やASMR、マインドフルネス瞑想の音声ガイドなどが視聴できるアプリ。睡眠導入としてだけでなく疲労回復やストレス緩和したいときにおすすめです。
BetterSleep
ホワイトノイズやソルフェジオ周波数など心地よいサウンドや音楽、物語や瞑想ガイドなどで眠りへと導きます。
Somnus
スマホで睡眠の質を測定・分析できるアプリ。計測した睡眠データをもとに、眠くなる時間帯や、おすすめの就寝時間が分かります。
まとめ
今回は、深く眠る方法をご紹介しました。
睡眠の質を高めることで、すっきりと清々しい朝を迎えられます。一日を元気よくスタートできるよう、ご自身の睡眠習慣を見直してみてはいかがでしょうか。