朝すっきりと目覚めると、1日を明るい気持ちで始められますよね。快適な朝を迎えるためには、睡眠でしっかり疲れを癒すことが大切です。
しかし、自分の意志で眠りをコントロールすることは簡単ではありません。もしも眠れない夜が続いてしまったら、誰でも不安になるもの。
この記事では、夜に眠れない原因と対処法をご紹介します。
目次
眠れないのはなぜ?5つの原因
眠れないときの対処法4つ!
– 【1】 運動習慣を作る
– 【2】 栄養面で摂らない食事・摂る食事を考える
– 【3】 リラックスする方法を取り入れる
– 【4】 眠りを妨げる習慣を減らす
【対象者別】眠れない原因・対策を解説
【病状別】眠れない原因・対策を解説
まとめ
眠れないのはなぜ?5つの原因
眠れない原因は、たいていの場合いくつかの要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。その日の体調やストレスはもちろん、眠るときの環境も影響します。
ここでは、代表的な5つの原因をご紹介します。
【1】食事習慣の乱れやカフェイン摂取のため
栄養の偏った食事や、飲酒などの食事習慣の乱れは、眠れなくなる原因のひとつです。そのほか、カフェインの摂取も要因として挙げられます。
眠る前に、珈琲や紅茶など、カフェインを多く含むものを摂取していませんか?カフェインは交感神経を刺激し睡眠を妨害します。敏感な方は、就寝の5~6時間前から控えるとよいといわれています。
また、たとえカフェインが含まれていなくても、就寝前の飲食は消火活動が睡眠の妨げとなり、眠りへの影響が指摘されています。
【2】日々の生活で心身ともに疲弊しているため
ストレスや身体の疲弊、それに伴う精神的な疲労が眠れない原因となることがあります。
「疲れているはずなのに眠れない」というときは、心身が緊張状態にある可能性が。例えば以下のような場合、精神的な要因が影響しているとされます。
- なかなか寝つけない場合
- 夜中に目が覚めてしまう場合
- 明け方に覚醒してしまう場合
【3】生活リズムが乱れているため
交代制勤務や長時間通勤、時差などの影響で体内リズムが乱れることも、眠れない原因のひとつです。
睡眠は主に、以下のような仕組みで成り立っています。
- 疲労による「睡眠欲求」と体内時計によって指示される「覚醒力」のバランスをとる
- 「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が90分~120分の周期で切り替わる
- 脳は日中の活動量や体温の上下などを細かく調節し、夜の睡眠と朝の覚醒に向けて準備をしている
生活のリズムが不規則になると、上記の機能が正常に働かなくなるため、睡眠のリズムが乱れることにつながります。
【4】病気にかかっているため
心身の病気が眠れない原因になることがあります。たとえば、以下のような症状が、睡眠障害になりやすいと言われています。
- 動悸
- 咳き込み
- 頻尿
- 痛み
- かゆみ
- 精神疾患
など。よく眠れず、体に違和感がある場合は、早めに医療機関で診察を受けましょう。
【5】ホルモンバランスが乱れているため
ホルモンバランスの乱れも、眠れない原因のひとつ。特に女性は、月経・妊娠・出産によってホルモンバランスが変化します。
月経前や妊娠中は日中に強い眠気を感じたり、妊娠中・出産後の夜間に眠れなくなったりするのはこのためです。
また、更年期に入るとおよそ半数の女性が不眠を経験するといわれています。
眠れないときの対処法4つ!
前章でご説明した眠れない原因には、運動習慣や食生活の見直し、リラックスを心がけることが効果的だといわれています。
具体的な対処法をご紹介しますので、ぜひ試してみてくださいね。
【1】運動習慣を作る
ほどよい肉体疲労は、質の良い睡眠をもたらします。午前中よりも、午後に行う汗ばむ程度の運動が効果的と言われていますよ。
ただし、激しい運動は神経を刺激し、かえって、眠れない原因になってしまいます。良質な睡眠のためには、ウォーキングやスローペースのランニングなど、ゆるやかな有酸素運動が推奨されています。
散歩・日光浴をする
散歩や日光浴で光を浴びながら体を動かすと、体温の上昇にしたがってセロトニンの分泌が促されます。セロトニンは感情のコントロールや精神の安定に作用するものです。
また、太陽光や強い光には眠れない原因のひとつである体内時計の乱れを調整する作用があります。これは、メラトニンの作用で、光を浴びた14時間後あたりから眠気が生じる仕組みです。
軽いストレッチを行う
就寝前のストレッチは、心身の緊張をほぐします。
近年、30分程度の時間をかけてゆっくりと全身を伸ばしていく運動に、副交感神経を優位にする効果があることが明らかになっているそう。
また、筋肉を緩めることは、血流の促進に有効。股関節の周りをほぐしたり、背伸びをして全身をゆるめたりして、気持ちよさを感じながら行うのがポイントです。
眠れない原因のひとつである心身の疲労を感じたときは、こまめなストレッチで対処しましょう。
参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「ストレッチングの効果」
【2】栄養面で摂らない食事・摂る食事を考える
食事の面から眠れない原因を考えることは、非常に重要です。
心地よい眠りに就くために推奨される食事には、どのようなものがあるでしょうか。控えた方がよいとされる食事とあわせて、以下でご説明します。
NGな飲み物・食事・習慣
就寝前には以下のものを控えるようにしましょう。
- お酒:アルコールの摂取は、眠りを妨げる
- 喫煙:ニコチンは眠りを妨げる作用がある
- カフェインを多く含むもの:コーヒーや緑茶、チョコレートなどは覚醒作用がある
「寝酒」という言葉がありますが、飲酒後の睡眠は浅くなりやすい傾向があり、眠れない原因のひとつであると考えられています。
参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「快眠と生活習慣」 「不眠症」
積極的に取り入れたい食事
眠れない原因のひとつである食事習慣の乱れを整えるには「たんぱく質」を積極的に摂りましょう。
よい眠りのためには、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が重要です。メラトニンの生成には、材料となるセロトニンが十分に分泌されている必要があります。
セロトニンの材料は、体内では生成されないトリプトファンです。つまり、トリプトファンは食物から摂取する必要があるのです。
トリプトファンは、肉や魚、乳製品、大豆製品、卵やナッツ類など、たんぱく質が多く含まれている食品で摂取できると言われています。
【3】リラックスする方法を取り入れる
心地よい眠りに就くにはリラックスして、眠れない原因のひとつである心身の疲労を癒すことが大切です。
ここでは、心や体の緊張を緩和させるための具体的な方法をご紹介します。
入浴習慣を作る
リラックスを促し、眠れない原因のひとつである心身の疲労に対処するには、入浴が効果的です。運動と同様、就寝前に体を温めておくことで眠気が自然に生じます。ただし、お湯はぬるめに設定し、半身浴で心臓への負担を軽減させるのがよいでしょう。
好きな音楽をかけたり本を読んだりして、ゆったりと過ごすのがおすすめです。
筋弛緩法で脱力する
「協会けんぽ 健康サポート」でも紹介されている筋弛緩法なら、自然に全身の力を緩められます。
体の筋肉を部位ごとに10秒間緊張させた後、一気にゆるめることで、体の緊張をほぐす方法です。
手、腕、肩、背中、顔、お腹、足…と、体の部位を緊張させては、20秒くらいゆるめる動作を繰り返して、心身をリラックスさせましょう。
参考:協会けんぽ健康サポート(全国健康保険協会 東京支部)「筋弛緩法で体をゆるめて、心もリラックス」
腹式呼吸を意識する
深い呼吸ができる腹式呼吸は、緊張を緩め、眠れない原因のひとつである心身の疲労に効果が期待できるといわれています。
息を吐き切る時にお腹をへこませて、息を吸うときにお腹をしっかり膨らませるのがポイントです。
以下、一般的な腹式呼吸の手順です。
1) 仰向けになるか、リラックスして座る
2) お腹がへこんでいくのを感じながら、口から大きく息を吐く
3) できるだけ時間をかけて、息を吐き切る
4) お腹を膨らませながら、鼻から大きく息を吸う
5) 吸ったときの倍の時間をかけるイメージで、長く息を吐く
頭の中に不安やモヤモヤがある場合は、息と一緒に吐き出すイメージで行うと、リラックス効果が向上しますよ。
参考:こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~(厚生労働省)「腹式呼吸をくりかえす」
リラックスできる空間を作る
眠りにつくときの環境は、眠れない原因のひとつとして日々の睡眠に大きく影響します。部屋が寒すぎたり暑すぎたりすると、なかなか寝つけないことがあります。
就寝時に適切な気温は20℃前後、湿度は40%~70%です。エアコンを上手に利用して調整しましょう。
また、リラックスできる空間を整える方法として、以下のようなものもあります。
- 寝室を暗くする
- 自分に合った枕や布団を選ぶ
いろいろな明るさや、寝具を試して、自分が最もリラックスできる寝室環境を見つけましょう。
【4】眠りを妨げる習慣を減らす
運動不足や不規則な生活が習慣になると、不眠を悪化させるといわれています。
いくら食事に気を付けていても、ベッドに入る時間が不規則だと心地よい眠りを保てません。また、先程もお伝えしたとおり、適度な肉体疲労は睡眠を助けるため、睡眠のために運動は習慣にしたいもの。
国内外の研究において、運動習慣のある人は不眠が少ない傾向にあることが報告されています。
快適な眠りのためには、眠るための習慣を取り入れるだけでなく、運動不足、不規則な生活や夜更かしなど、眠りを妨げる習慣を減らすことも意識してみましょう。
参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「睡眠と生活習慣病との深い関係」
【対象者別】眠れない原因・対策を解説
次に、眠れない原因と対策を、対象者別に解説します。例えば未就学児の場合は、午後3時以降の昼寝が眠れない一因になります。
対策としては、日中に十分に体を動かすことや、生活習慣の見直しが考えられます。
幼児の場合
眠れない原因
- 午後3時以降の昼寝
- 日中の活動不足
- 遅い時間の夕食、入浴
- 就寝前の激しい運動
対策
- 日中に体を動かす
- 生活習慣を見直す
小学生の場合
眠れない原因
- 部活動や習い事、宿題や課外活動のための活動過多
- インターネット動画やテレビの長時間視聴
対策
- メディアにふれる時間を制限する
- 同じ時間に就寝する
中高生の場合
眠れない原因
- 宿題や試験勉強のための夜更かし
- 塾や習い事のための遅い帰宅
- 就寝直前のゲームやSNS
- 家事
対策
- 生活習慣を見直す
- ゲームやSNSの時間を制限する
- 同じ時間に就寝する
男性の場合
眠れない原因
- 長時間にわたるパソコンやスマートフォンの操作
- 仕事のストレス
- ホルモンバランスの変化
対策
- 生活習慣を見直す
- メディアにふれる時間を制限する
女性の場合
眠れない原因
- 月経周期によるホルモンバランスの変化
- 出産後の睡眠不足
- 更年期の睡眠の変化
対策
ホルモンバランスが変化することを理解しておく
高齢者の場合
眠れない原因
- 加齢による身体能力の低下
- 日中の活動不足
- 日光にあたることや社会との接触の減少
対策
- 日中の活動量を増やす
- 食生活に配慮する
このように、ライフステージによって、眠れない原因は異なります。自分に当てはまる対策をぜひ試してみてください。
参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)「子どもの睡眠」「女性の睡眠障害」「更年期障害」「高齢者の睡眠」
【病状別】眠れない原因・対策を解説
眠れない原因と対策を、ここからは病状別に解説します。
例えば、風邪をひいたときは発熱が原因になることがあります。その場合は、体温を調節することで改善されるでしょう。
風邪の場合
眠れない原因
- 咳、鼻水、たん
- 発熱による体温の上昇や低下
対策
- 鼻水を吸引する
- タオルや枕で調整して肩を少し高くする
- 手足を温める、冷やす
- 温度や湿度を調整する
精神疾患の場合
眠れない原因
- 不安や恐怖心
- 薬の副作用
- 睡眠へのこだわり
対策
- 専門医に相談する
- リラックスできる時間を作る
腰痛の場合
眠れない原因
長時間のデスクワークや腰の酷使で起こる激しい痛み
対策
お尻や腰のストレッチをする
肩こりの場合
眠れない原因
筋肉の緊張
強い痛み
慢性疲労症候群による自律神経の乱れ
対策
肩や首周りのストレッチをする
頭痛の場合
眠れない原因
眠れない原因
筋肉の緊張
強い痛み
対策
ゆったりと入浴する
日頃から筋肉をほぐす
***
眠れない原因は病状によってさまざまです。自分でできる対策を試してみて、それでも改善しないときは医師の方に相談しましょう。
まとめ
散歩やストレッチを取り入れて運動習慣を作ったり、たんぱく質を多く含む食事を心がけるなど、生活習慣を見直すことで眠れない原因に対処できるでしょう。
また、日頃からゆったりした入浴や筋弛緩法、腹式呼吸を行ったり、生活環境を整え、リラックスする時間を作ることも大切です。
心地よい眠りを手に入れて、快適な朝を迎えましょう!