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画家・安野光雅さんを偲んで。美しい宝物のような本『絵のある自伝』

 

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、安野光雅さんの本を。

画家の安野光雅さんがお亡くなりになりました。安野さんの描く絵の世界が大好きでした。謹んでご冥福をお祈りいたします。

今日は昨年10月にご紹介した安野光雅さんの本をもう一度お届けします。心に深くしみる素晴らしい自伝エッセイです。


絵のある自伝
著者:安野光雅
出版社:文藝春秋

大正十五年に島根県津和野町に生まれ、昭和の時代をたくましく生きてきた。画家・安野光雅が水彩画とともにつづった初の自伝です。描き下ろしの絵が50点以上も収録されています。

子どもの頃、はじめて買ってもらった本は、雑誌「少年倶楽部」だった。お父さんに内緒で、お母さんが買ってくれた大切な本を、光雅少年は「文字という文字はすべて読み、この本の絵もみんな覚えた」という。雑誌の編集部に「私は絵描きになりたいです」と手紙を出したこともあったそうです。

ずっと絵描きになりたくて、その志を片時も忘れたことはなかったけれど、炭鉱につとめ、兵役につき、敗戦後は教員となった安野さん。進駐軍の交通標識を書くアルバイトをしたこともありました。夢が実現するまでの道のりはずいぶん長かったかもしれません。でも、そんなふうにはちっとも感じさせない、まっすぐなまなざしとやわらかな語り口が印象的です。

水彩画とともに鮮やかによみがえるのは、著者が少年時代に一時的に住んだ家の思い出。隣の家のおばさんはいつもミシンを踏んでいた。その隣はおばあさんが店番をする駄菓子屋で、夏は店の前に縁台が出た。その隣の家では奥さんが土間で回転焼きを焼いていた——。当時の人々の日常が生き生きと伝わってきます。

さらさらと描いたスケッチを見せてもらいながら、身の上話を聞いているような気持ちがしました。文庫本に美しい絵と昭和の暮らしと人生が詰まった、宝物のような一冊をどうぞ。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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