朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、心理描写の名手・乃南アサの小説『いつか陽のあたる場所で』。
物語の主人公は、29歳の小森谷芭子(はこ)と41歳の江口綾香。東京下町の谷中界隈を舞台に、つらい過去を抱えるふたりの女性が支え合い、健気に生きる日々を描きます。傑作シリーズ全3冊の1作目です。
『いつか陽のあたる場所で』
著者:乃南アサ
出版社:新潮社
人には知られたくない、知られてはならない過去をもつふたりは、今日もお互い寄り添って生きている。芭子と綾香が出会ったのは刑務所の中。罪を償い自由の身になって谷中の町で暮らし始めた。
祖母が遺した古い家に住む芭子は、じっと息をひそめるように暮らしています。近所の人たちが何かと気にかけてくれるけれど、やっぱり過去を知られたくないという思いが強くて心を開けない。一方、綾香はパン屋で修行を積みながらいつか自分の店を持つ夢に向かって毎日元気に働いています。
「人並みの暮しなんか、望んだらいけないんだ」と言う芭子を、明るく励まし続ける綾香。もう償いは終わったのだから、普通に暮らしていいと綾香は言うけれど、芭子はそんな気には到底なれなくて——。
そんなふたりのささやかな楽しみは、芭子の家で夕食を一緒に食べること、息抜きのためにときどき外食をすること、季節の移り変わりを感じること。そしてなにより大切なのは独りじゃないということ。綾香のおかげで固く閉ざされていた芭子の心も少しずつほぐれていきます。今このとき、かけがえのない日常を大事にしている芭子と綾香の気持ちがひしひしと伝わってきます。
シリーズ2作目『すれ違う背中を』3作目の完結編『いちばん長い夜に』と読み進むうち、彼女たちの日常にも変化が訪れます。どんなときも前を向いて、まっすぐに歩いていこう。つらいとき、生きづらさを感じるときに、オススメの一冊です。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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