朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『熱源』。
2020年1月15日に発表された直木賞受賞作。極寒の地、樺太(サハリン)を舞台に、強く生きようとするアイヌの人々を圧倒的な筆致で描く一冊です。史実をもとにした歴史小説でありながら、冒険、青春、恋愛など小説の醍醐味がたっぷり詰まった一冊をどうぞ。
『熱源』
著者:川越宗一
出版社:文藝春秋
アイヌの人たちは絶望から何度も立ち上がった。どんなときも生きる希望を捨てずに生き抜いた。
北海道の対雁村に暮らす樺太出身のアイヌの若者、ヤヨマネクフもそのひとり。文明と時代の波に翻弄され、疫病で愛する人を亡くし、絶望の淵に立たされながらも自分を奮い立たせる。もう一度生き直すために、生まれ故郷の島に帰ろう。針葉樹の森に覆われた雪と海氷の島へ——。
ヤヨマネクフと同じように、故郷を失ったポーランド人の物語も樺太を舞台に描かれます。彼らは苦境に立ち向かい這い上がる、何度も何度も。彼らが自分を奮い立たせる時に感じていたのは「熱」。故郷の大地が帯びていた熱、彼らの胸に生じる灼けるような熱が、物語の力となって心を揺さぶります。
物語の背景にはずっと、樺太アイヌの五弦琴(トンコリ)の旋律が高く低く流れています。本を読み終えたあともあの琴の音を聞きたくて、ヤヨマネクフの妻、琴の名手だった美しいキサラスイにもう一度会いたくて。そして、強く生きた女性たちの心に秘めた熱い想いをもっと聞きたくなりました。
直木賞をはじめ「本屋が選ぶ時代小説大賞2019」を受賞した本書。同時代に生きる作家の書いた作品をリアルタイムで読める喜びをあらためて感じます。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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