【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】4章「野心家の猫」Vol.36 主婦がビジネス

 

vol36

「それにしても安子の持っているお皿、素敵だね」

そうありがとう!いま、インスタグラムで朝ご飯をアップしてるの。そしたらお皿を揃えたくって、買いあさっちゃって。ダンナに見つからないよう隠してるの」

安子のインスタグラムを見ると、素敵な朝ご飯の写真で埋め尽くされ、1000人のフォロワーがいる。

びっくりしてずっと見入っていると、安子がおもむろに一言放った。

「マーサ・スチュアート」

「え?何?名前?」

「アメリカの主婦でね、家庭用品やら雑誌などビジネスで成功したカリスマ。彼女のライフスタイルに憧れた人は、マーサホリックとか言われて一世を風靡したの。日本で一番近いのは、栗原はるみさんかなぁ?」

「へぇ、主婦なのに、ビジネス?」

「そう、しかもね、マーサの会社は株式上場して、インサイダー取引で禁固刑にまでなるんだけど、服役中にヨガや織物を教えていたらしいわ。肝が座ってるよ。

そのあと会社に復帰したけれど、業績は低迷して、今年買収。でも、買収額は3億ドル以上だって!」

「そんな主婦がいるの!」

安子は平然と言った。

主婦こそビジネスできるのよ、と。

(この小説は、毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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