三鷹の駅を降りてバスで15分。住宅地の中に安子の住むマンションがある。
インターホンを押して待つ間は、玄関に飾られているリースを眺める。季節ごとに安子が作り替えている。
私なんて、クリスマス過ぎてもクリスマスのリースを片付けられず、前の彼氏に呆れられたことがある。
安子にその話をしたら、それが奈美なんだから、受け入れてもらえないとね。
笑っていたけれど、きっと安子にも、私のズボラさは信じられないのだろう。
安子のウチに来ると、何がなくとも、少し落ち込んでしまう。だから、元気な時にしか来ることができない。
安子と2歳の男の子が笑顔迎えてくれる。
子育て中にも関わらず、変わらず安子のウチは片付いている。リビングが15畳くらいあって、暖かな日差しが感じられる。飛騨の家具職人のオーダーメイド家具は、温もりと洗練を両立させている。
「いつ見てもオシャレだなぁ」
「シンプルに暮らしているだけよ」
余裕のある笑顔だ。
安子は、2歳になる息子の広太を木のおもちゃで遊ばせながら、上手に紅茶をいれてくれる。
「それで、今日は由加利のこと?紗江のこと?」
(この小説は、毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
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物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。