【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】3章「好き、嫌い」Vol.28 それならそれでいい

 

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翌日の朝、そうは言っても身体は重い。身体は正直だ。体脂肪は多少増えた。

それでも、今日、調整すればいいだけのことだ。紗江と通じ合えたことの方がよほど大切なこと。

その判断ができた自分のことを少し、好きになれた。

裕也にも、正直に話した。昨日の飲み会の相手は、紗江だったと。

裕也は、元気ならそれでいいとだけ、言葉少なめに話題を終えた。

裕也の中で、紗江のことが進行形なのか、完了形なのか、短いメッセージでは掴みきれなかったけれど、そのどちらでも私は受け止めたいと思った。

紗江は、店を出て、別れ際に言った。

「わたし、この舞台が終わったら、劇団を辞めようと思うの。戦ってきたなんてかっこいいこと言ったけど、劇団がなくては、立てる舞台もない。

それじゃ、女優だって胸を張って言うこともできないから」

紗江も今年30歳を迎える。きっと次のステージに向かうんだ。

紗江の苦労も、どんな戦いをしてきたかも想像がつかないけれど、これだと思う職業に出会えている紗江を羨ましく思った。

だから、紗江と裕也の関係が本当の意味で終わっていなくても、それならそれでいい、と思えていた。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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