【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】3章「好き、嫌い」Vol.27 正しいことだけが正解ではない

 

vol27

私は店員に言った。

「フライドポテトと唐揚げを」

紗江は、大爆笑した。

「ありがとね、奈美」

私も、大爆笑した。

人間の心理がそうだとして、気持ちがシンクロする相手がいないとして、それでも、私は、紗江や由加利や安子を大切にしたい。

一方が絶頂で、一方がどん底で、一時的に離れることがあったとしても、完全に分かり合えなくても、それでいいんだって思いたかった。

正しいことだけが正解ではない。

ダイエット中の揚げ物だって、親友とおいしく食べることができるならいい食べ方だ。

その後は、紗江の演技の話、私の近況、ダイエットの経過、一気に語り尽くしたらあっという間に時間が過ぎ、かなり、カロリーも摂取してしまった。

初めて紗江と向き合った気がして、心はとても温かくなれていた。

友人グループっていうのは不思議だ。どんなに仲が良くても、4人で会えばそんなに深く心に入り込めるわけではない。

その日の帰りは、いつもお決まりの飲み会帰りのコンビニアイスも必要なかった。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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