紗江の決断を励みに、ダイエットにも集中した。
食事は色々試した。
ダイエットを早く進めたいという気持ちが高まって、1日のカロリー摂取量を1200kcalまで摂取量を減らす日もあったが、これだと、1日の終わりに息切れしてしまって、辛いばかりになってしまった。これでは続かない。
逆に夕飯をしっかり頂いてしまった日は、次の日朝の身体の調子が悪い。
そして行き着いたメニューが、朝はスムージーで200kcal。お昼ご飯はたんぱく質大めのしっかり定食を食べて800kcal以上。食べることで、心も満たし、夜はほぼ炭水化物を食べず控えめに500kcalに押さえる。
これで、1日1500kcalの自分流プランができあがった。
不思議と、節制している辛さもなく、身体の調子がすこぶる良く、ストレスを溜めることもなくなった。
正解は、その時々、自分で見つけるしかないんだということに、食事の仕方を通して、気付くことができた。
途中で諦めるから、新しい方法に挑戦して同じように挫折して、また新しいことにチャレンジして、挫折する。ちょうどいい自分の方法を見つけるまでは、方法を変えずに、微調整をする必要がある。
少しの失敗で諦めてはいけないんだ。
ダイエットでも仕事でも同じ。私はいつも、途中で逃げてきた。由加利のように頭が良くないし、紗江のように美人じゃないし、安子のように気が利かない。
だから、自分はこんなものだと逃げてきたことに、ようやく冷静に向き合うことができた。
(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。