【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】3章「好き、嫌い」Vol.25 恋愛に不器用な女優

 

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「そりゃ、私は必死に取り繕うよ、裕也のこと好きだったし、尊敬していたし、輝いていて欲しいじゃない。だから、『裕也だって、いまの仕事すごく頑張ってるじゃない』って。

その言葉が芝居でも使わないくらい薄っぺらかった。私は裕也のこと、何も知らなかったの。

私は、舞台の上で、自分の努力を吐き出すことができて、認めてもらうことができたけど、裕也のスゴさをすぐに言葉にしようとしてできなかった。

どうして彼のこと好きなんだろう、って考えたら、自分を励ましてくれるとか認めてくれるとか、私のワガママな気持ちばっかりだった。

彼のことは好きなのに、彼に甘える自分が大嫌いになって、それを気付いてからもどうすることもできなくて、彼を遠ざけることしかできなかったの。

裕也は、もっとちゃんと裕也自身を見てほしかったんだと思う。私は裕也っていう一番の理解者によって、支えてもらって、いい気になって、その彼に裏切られて、悲劇のヒロインになって、勝手に1人芝居をしてたの」

私は呼吸をするのも忘れるくらいびっくりしていた。強くて美しい紗江が、恋愛に不器用だったなんて。

でも、私だって、紗江のこと、表面的に見ていたのかもしれない。

そして、話題の渦中にある人物から、メッセージが届いた。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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