【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】3章「好き、嫌い」Vol.24 大嫌いの訳

 

vol24

紗江の本音を聞くのが怖いと思った時、私は裕也への特別な気持ちを確信した。

その気持ちは、ダイエットが終わるまで封印しよう。同時に、紗江に打ち明けるのも今は尚早だと、意思決定したその時、

「裕也は言ったの。『紗江は輝いていていいね』って」

やっぱり面白くないんだ、紗江の一言に心が泣き、身体は固まる。

私は、そんな心が強くない。親友の気持ちを裏切ってまで、恋愛に走ることもできない。

でも、良かった。引き返せないほどではないから。

いつもの調子で私は引き際を考えた。

自分の感情をコントロールすることには、慣れている。慶太さんのことだって、ずっと心に秘めてきた。

鼓動を沈めようと、私は、メニューを手にした。

「そういうの大っ嫌い」

想定外の紗江の言葉に、ページをめくる手を止めざるを得なかった。

「こっちは必死に戦ってきたの。そういう小さな、妬みみたいな言葉は、私にとっては、邪魔だった」

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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