【朝の恋愛小説:やっぱり朝は二度寝が好き 】 Vol.25 知らない一面

 

Vol.25 知らない一面

「じゃ、お先~」

と肩をたたいて、ことみが会社を後にした。

私も支度をして、従業員口を出ると、既に誠士が待っていた。

真剣な表情をしながら、隣で誠士が運転している。
社用車ではないみたい。

こんな車持ってたんだ、
横顔ってこんなだっけ、

知らない誠士の面に少しドキドキしていたら、誠士がCDのスイッチを入れた。

息が止まりそうになる。
高校の時に好きだった曲だ。
昨日のことが一気に思い出された。

同時に、緊張が解けて、大笑いした。

「誠士ってさ、ホント空気読めないよね。ごめん、しょうがないんだけどさ」

そう言うと、誠士は最初ムキになってその理由を求めたが、あまりに私が笑うので、笑い始めた。

私は、誠士に隠れて、少し涙を吹いた。

雪乃のことがどうってより、自分が17歳のまま、恋愛偏差値も人生経験値も低いままだったことへのショックが、ボディブローのように効いてきた。

「ここ」

誠士が車をとめた。

(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)

 

続き(Vol.26)を読む >>

<< 前回(Vol.24)を読む

 

物語の登場人物

立川萌乃(もえの) 28歳

静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。

新城雪乃(ゆきの) 28歳

萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。

藤井倫太郎(りんたろう)28歳

萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。

木村ことみ 28歳

萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。

柳原誠士(せいじ)28歳

萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。

近藤裕太(ゆうた)24歳

萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

連載記事一覧

今日の朝の人気ランキング