ぼおっと浸っているまま、目をこすり、画面を見る。
「藤井のことなんだけど、実は言わなきゃいけないことがあって。
私も好きだったんだ。3年の時。
萌乃の気持ち知ってたからあの時は言えなかったんだけど、
実は1ヶ月だけ付き合ってた。
ホントに言ってなくてごめん。すぐ別れちゃったし・・・。
わたしも卒業式以来あってなくて、すっかり忘れていたくらい。
ごめん、ホントに言い出せなくて。いま、言っておかないと、と思って。
でももう、時効だよね?><」
え? ちょっと待ってよ。
「分かる、分かるけど、それは酷い。それに、「時効だよね」っていうのは、私の台詞であって、当事者が言うのは筋が違う、と思う。」
って、勢いに任せて、文字を打ってみて、LINEで言い合うのはバカバカしいことに気付いた。
17歳の時だったら、雪乃と言い合いできたかもしれないけど。
「そんなこと、気にしないでよ」
びっくりなっしーのスタンプとともに。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。