今日のカフェボンボンは、作家・片岡義男の素敵なタイトルの本。コーヒー、トマト、素麺、かき氷、外国旅行のお土産など、美味しいものを巡るエッセイ集です。
『洋食屋から歩いて5分』
著者:片岡義男
出版社:東京書籍
一杯のコーヒーが非日常との接点を作り出す。小説を書く時はいつも、日常から非日常へと何の無理もなしに移れなくてはならない。
コーヒー百杯につき、短編小説のひらめきがひとつ。いままでに500編の短編小説が生まれた。たぶん、43800杯のコーヒーを飲んだに違いない……。片岡義男は、小さな非日常への入り口をするりと通り抜ける。
ハワイのヒロにあるサンドイッチの店で。調理場のラジオからエルヴィス・プレスリーの歌が流れてきた。二度目のほぼ同じ時間に同じ店を訪れた時もまた、DJはエルヴィスをかけた。三度目も同じだった。
軽やかな文章に誘われ、ホノルル・ダウンタウンやタヒチの町はずれの食堂と同じように、日常から解放される場所はどこにでもあると感じる。神保町の喫茶店、私鉄沿線の夕暮れ時の洋食店だって、エキゾチックな非日常なのだ。
片岡義男の「朝時間」は、夏の食卓のトマト。
瀬戸内で過ごした少年時代、海で泳ぎながらトマトにかぶりついた思い出と結びついています。
本のお供には、パーコレーターでいれたコーヒーをいかがでしょう。コーヒーの香りでちょっとだけ日常を離れてみてください。
Love, まっこリ〜ナ