vol.1-23 海外旅行の目覚めも快適に♪ <時差ボケ編>

 
夏休みをとって海外へ出かける人も多いと思いますが、気をつけたいのが時差ボケです。「海外に行くといつも調子が悪くなる」「目覚めが悪い…」という人は、時差ボケ対策を覚えておきましょう!
 ■ 時差ボケは生体リズムと生活時間のズレが原因

 

通常は、私たちに備わっている体内時計のリズムと生活時間はぴったりと一致していますが、時差のあるところへ短時間で移動すると、生体リズム(私たち人に備わっている体内時計のリズム)と現地での生活時間がズレてしまいます。

 

それにより心身の機能が一時的に不調和状態になり、夜中に目が覚めて眠れない。観光中も頭がボーっとする。気分が悪く、食欲もないといった不調が起こることがありますが、それがいわゆる時差ボケです。

 

 

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その程度には個人差があるものの、海外旅行をする人8割以上の人が何らかの症状を感じているといわれ、一般に、自律神経系の不調や睡眠障害が解消されるまでには若い人で約1週間かかるといわれています。高齢者では自律神経系は1週間ですが、睡眠に関しては10日もかかるといわれています。

 

 ■ 西行き旅行より東行き旅行に時差ボケがでやすい

 

生体リズムにも1日のリズム、1年のリズムといろいろなリズムがありますが、1日のリジムは後ろにずらす(長くする)のは比較的簡単(夜更かしは得意ともいえます)なのですが、早める(早寝早起き)のには大変だといわれています。

 

そのため、生体リズムを後ろにずらす必要のある西行き旅行より、前進させる東行き旅行のほうが時差ボケになりやすいといわれています。

 

 

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それを軽減するには、できれば出発前から生活時間を少しずつずらして、現地との時差を少なくしておくことが好ましいのですが、それは現実的になかなかむずかしいこと。身体には負担になりますが、時差を早く解消するには、現地についたら現地の生活時間になるべく早く合わせることがポイントだといえます。

 

ちょっと皮肉なことですが、普段、規則正しい生活をしている人ほど、時計のズレをはっきり感じやすいため、時差ボケ症状も感じやすいようです。そういうと、不規則な生活をしている人のほうが適応能力があり、海外旅行に向いているように思われがちですが、健康の面からいえば、そうともいえません。

 

規則正しい生活を送っている人は、普段は時計が正しく動いていると考えられます。そのため、時差ボケは感じるものの、普段は睡眠の質が高く健康状態も良好だといえます。しかし、不規則な生活を送っている人は、日本にいながら時計が乱れることが多いため、国内にいても海外にいても時差ボケに近い状態にあると考えられ、海外に行っても時差ボケは感じないものの、眠りの質、体の機能とも低下しやすい状態にあると考えられます。つまり、時差ボケの現れ方で自分の時計が普段、どれだけ正確に動いているのかわかるともいえるのです。

 

とはいえ、海外旅行はなるべく快適に過ごしたいもの。下記のアドバイスを参考に、安全に無理のない旅を楽しんでください!とくに時差ボケ症状は1日目にでやすく、ミスも起こりやすくなるので、1日目はタイトなスケジュールは厳禁!
 
時差ボケがひどい人は、メラトニン剤や短時間睡眠薬などを使った方法もあるので、事前に専門医に相談を。

 

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1.旅行前はしっかり寝ておく

睡眠が不足していると、睡眠障害がでやすいといわれているので、旅行前には十分な睡眠をとっておきましょう。

 

2.現地の生活時間に合わせる

時差ボケを早く解消するには、1日目の過ごし方がとても重要で、飛行機の到着時刻によっても大きく左右されます。飛行機の中では眠れないという人は、できれば現地に夕方到着する飛行機を選ぶことがオススメ。飛行機の中では眠らず、到着したら早めに夕食をすませ(消化のいいものを選び食べ過ぎない)、早めに眠りましょう。到着してもなかなか眠れないときは軽い運動または入浴をして体を温め、気分をリラックスさせると眠りやすくなります。

 

朝到着の便になってしまった人は、飛行機の中ではなるべく眠っておきましょう。眠れなかった場合でも、現地についたら眠らずに、日中はなるべく明るい場所で過ごすこと。どうしても眠たい場合は、現地時間の午後2時前後に30分程度の軽い仮眠をとりましょう。寝すぎたり、夕方遅くに寝てしまうと夜になっても眠れなくなり、一層時差ボケがひどくなってしまうので注意して。

 

3.東への旅行は1日のリズムを前進させる

東へ旅行する際には、1日のリズムを前進させる必要があります。そのためには、現地で朝を迎えたら、つらくてもきちんと起きて、30分程度しっかりと太陽の光を浴びましょう。1日のリズムが1~2時間前進するのに効果があります。また、昼食・夕食の時刻も少し早めると、代謝のリズムを前進させるのに有効です(内臓にも体内時計があり、それも生体リズムや睡眠に影響します)。つらいからとお昼すぎまで寝るようなことはしないこと。どうしても眠気が強い場合は午後2時前後に30分程度の仮眠をとるようにしましょう。

 

4.西への旅行はサーカディアンリズムを後退させる

西への旅行は、就寝時刻と起床時刻を遅くして、1日のリズムを後退させましょう。そのためには夜になってからも2,500ルクス以上の明るい光を浴びることが有効です。ただ、入眠を妨げてしまうことがあるので、就寝直前は避け、夕食後などに光を浴びるようにしてみましょう。

 

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時差ボケは、帰国後も起こります。日本に帰ったときも上記の方法を参考に、1日のリズムを再同調させましょう。1~2時間リズムを調整するだけでも、実は数日は必要だといわれているので、数日間は意識して規則正しい生活を送るようにしましょう。

 

*国立精神神経センター・白川修一郎先生発表の資料を参考に執筆。

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この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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