vol.23 短時間睡眠(ショートスリープ)は誰にでもできる?

 

朝活ブームから話題となった“短時間睡眠(ショートスリープ)”。忙しい現代生活を考えれば、睡眠時間が短くできたらとても便利ですよね。しかし、短時間睡眠は誰にでもできるものなのでしょうか?

 

真のショートスリーパーは全体の0.5%ほど!

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睡眠時間は個人差がありますが、時代やライフスタイルによっても変わるので、生物学的にどれくらい差があるかを正確に知ることは簡単ではありません。しかし、いくつかの統計から6~8時間寝ている平均的な人(バリュアブルスリーパー)は、全体の9割弱にも上り、いわゆる短時間睡眠者(5時間未満しか眠っていない人=ショートスリーパー)や長時間睡眠者(9時間以上眠っている人=ロングスリーパー)は、合わせても1割強しかいないようです。

現在のように忙しい社会では、睡眠時間が短かくてすめばとても効率的ですし、実際、平日の睡眠時間が6時間を切っている人も少なくないようです。でも、真のショートスリーパーはわずか0.5%程度。多くの人は、本来の睡眠時間を偽って無理をしている“仮面ショートスリーパー”というのが正しいでしょう。

あなたが真のショートスリーパーか否かを知るには、次のチェック項目で確認をしてみましょう!体質にあった、適切な睡眠をとるヒントになるはずです。

【エプワース眠気尺度チェックリスト】 *一部変遷
下記の1~8の質問に対し、日中の状態として、下記の4つの選択肢から近いものを選び、その点数を合計してみてください。

・うとうとする可能性はほとんどない  0点
・うとうとする可能性が少しある    1点
・うとうとする可能性は半々くらいある 2点
・うとうとする可能性が高い      3点

1. 座って本を読んでいる時
2. 座ってテレビを見ている時
3. 会議、映画館などで静かに座っている時
4. 乗客として1時間続けて自動車や電車に乗っている時
5. 午後、横になって休憩をとった時
6. 座って人と話をしている時
7. 昼食をとった後(飲酒なし)、静かに座っている時
8. 座って手紙や書類を書いている時

 

<判定>
*0~5点  睡眠不足はありません。現在の睡眠時間で足りています。
*6~10点  やや睡眠不足の状態です。睡眠時間を見直してみましょう。
*11~20点  かなり睡眠不足です。日常生活や社会生活に支障が出る可能性があるので、今すぐ睡眠時間を見直しましょう。
*21点以上  睡眠不足が限界に達しています。事故などを起こしたり、病気になってしまう前に睡眠時間を見直して!

 

また、平日の睡眠時間は6時間未満で平気でも、週末になるとたくさん寝ているという人、眠気はないけど疲れがとれない、胃腸の調子がいつもよくない、むくみやすい、やる気が起きない、イライラしやすいなんていう人も、真のショートスリーパーとはいえません。そんな生活を続けていると、体内時計が乱れるばかりか脳や体へのダメージが大きくなり、体調不良の原因に!
気力だけは大丈夫と思っていてもあなたにとっての睡眠時間が不足しているとほろ酔い状態と同じになると言われ、作業効率が落ちる、記憶課題の成績が落ちる、認知作業の速度が落ちる、学習能力が落ちる、思考の視野が狭まる、柔軟な思考ができにくくなる、些細なことを無視するようになる、意欲の低下など、気づかないうちに日常生活にマイナス点が増えている可能性もあります。ある報告では、バリアブルスリーパーが睡眠時間5時間を続けると、3日目からグッと脳機能が低下することが伝えられています。

 

脳や体の健康を考えるなら、無暗に睡眠時間を短くするのはやめ、自分なりに快適だと思われる睡眠時間(平日、休日を問わず、ほぼ同じ睡眠時間が維持でき、日中は活動的で意欲的な状態が保てる)を見つけましょう。

 

それでも、睡眠時間を短くしたいなら…

いろいろな調査から、7時間程度の睡眠がもっとも病気になりにくく、それより長すぎても短すぎても病気になる確率は増えるといわれています。
ですからできれば7時間程度の睡眠を心がけてほしいものですが、少しでも睡眠時間を短くしたいという方は、次のような生活を心がけてみることをおすすめします。

【ショートスリープ時の注意点】
1.平日、週末に関わらず、できるだけ毎日同じ時間に起きる。
(寝る時間も同じにするのが理想ではありますが、多少前後してもOK。眠くなったらベッドへ)
2.食事の時間も毎日同じ時間にする。(ただし、寝る直前の食事はNG)
3.朝起きたら太陽の光を浴びる。
4.日中は活動的に過ごし、社会的接触を心がける。
5.適度な運動を習慣にする。運動できない時はゆっくり入浴する。
6.寝る前のカフェイン、お酒、喫煙は避ける。
7.寝る前はストレスがかかることはしない。
8.寝る時は部屋を暗くする。
9.短時間の昼寝はOKだが、夕方以降は眠らないようにする。
10.季節に合った寝具を使い、夏は室温26~28℃、湿度50~60%、冬は室温18~23℃、湿度50~60%を保つ。

 

上記のような規則正しい生活を基本にすると、体内時計が整ってくるため、睡眠が深くなり、その分睡眠時間を短縮することが可能になります。実際ロングスリーパーは、眠りが浅いため、それを長さで補っているという報告もあるほどなので、ある意味ショートスリーパーはロングスリーパーより効率的に眠っているといえます。

 

しかしながら一般的に睡眠が不足すると、自律神経が亢進し、自律神経のバランスが乱れることがあります。また、脳機能が低下し、肥満や高血圧などのリスクも高まってしまうので、やはり極端に短くするのはオススメできません。

 

睡眠を削ることは人間らしい生活や健康を削ってしまうことにつながります。睡眠時間を削る前に、日中の活動時間内で効率よく動けるかどうかを一度考えてみてみるようにしましょう。

 

 

 

 

 

この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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