朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、2冊の歌集を。
「美しい紅茶には神さまが住んでいるある朝ふいに信じたくなる」「ティ・カップに内接円をなすレモン占星術をかつて信ぜず」——。朝読書にぴったりの本をセレクトしました。東京天文台(現・国立天文台)に勤めながら、短歌を詠み続けた歌人・杉﨑恒夫の歌集です。料理や音楽を題材にした作品は、日常の幸福とせつなさに満ちています。透明感あふれる朝に。
『パン屋のパンセ』
著者:杉﨑恒夫
発行:六花書林/発売:開発社
「星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ」「天秤座の天秤ばかりかなしみはミリグラムまで量られますか」
宇宙を感じるのに、学問的なアプローチでは難しくても、歌や詩のことばならぐっと近づける気がする。著者の歌を読むと、私も宇宙の一部だと感じるんです。それからはるか遠い昔とのつながりも。
「アテンション・プリーズ散歩のみちに遭う一つの雲のこんな優しさ」とても親密であたたかな光を帯びた歌。朝ごはんも雨も雲も星空も、みんな私の中でひとつにつながっているような幸福な気持ちになります。
パン屋のパンセの「朝時間」は、「鳥の天国」より。「どんな小糠雨よりうつくしい朝のセロリーに振りかける塩」
『食卓の音楽 新装版』
著者:杉﨑恒夫
出版社:六花書林
まるい食卓、四角い食卓、いびつな食卓……。食卓の上で言葉が踊る。豊かな感性あふれる第一歌集です。
「くだものの皮ほぐれつつくだものの芯にサティのオルゴール鳴り」りんごやゆで卵から、その思いは一気にはるか宇宙へと飛んでゆく。「脳天へ叩き込まれる三和音、冬はじめてのオリオン星座」。星を愛した人が奏でるうたが、鳥の声や雨の音、蜂蜜の甘さやレモンの匂いとともに届きます。
食卓の音楽の「朝時間」は、「楕円の食卓」より。「彗星のマップ延べつつ長楕円軌道に朝のパン屑こぼす」
くわしくはこちらの記事をどうぞ。
*『パン屋のパンセ』
*『食卓の音楽』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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