今日のカフェボンボンは、歌集『パン屋のパンセ』。
天文台に勤めながら、短歌を詠み続けた歌人・杉﨑恒夫。朝露のようにみずみずしい歌が心に届きます。
『パン屋のパンセ』
著者:杉﨑恒夫
発行:六花書林/発売:開発社
“星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ”
“天秤座の天秤ばかりかなしみはミリグラムまで量られますか”
宇宙を感じるのに、学問的なアプローチでは難しくても、歌や詩のことばならぐっと近づける気がする。杉﨑さんの歌を読むと、私も宇宙の一部だと感じるんです。それからはるか遠い昔とのつながりも。朝食の紅茶やぶどうパン、夜のポストやエレベーターに、思いもかけない感情のきらめきが宿っている。
“アテンション・プリーズ散歩のみちに遭う一つの雲のこんな優しさ”
とても親密であたたかな光を帯びた歌。ひらがなと漢字、カタカナの絶妙な配列。短歌とはこんなにも心楽しい、自由なものだとあらためて思う。
以前ご紹介した第一歌集『食卓の音楽』もぜひ。
パン屋のパンセの「朝時間」は、「鳥の天国」より。
どんな小糠雨よりうつくしい朝のセロリーに振りかける塩
Love, まっこリ〜ナ