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朝露のような歌集『パン屋のパンセ』

 

BONBON222

今日のカフェボンボンは、歌集『パン屋のパンセ』

天文台に勤めながら、短歌を詠み続けた歌人・杉﨑恒夫。朝露のようにみずみずしい歌が心に届きます。


20140416

パン屋のパンセ
著者:杉﨑恒夫
発行:六花書林/発売:開発社

“星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ”
“天秤座の天秤ばかりかなしみはミリグラムまで量られますか”

宇宙を感じるのに、学問的なアプローチでは難しくても、歌や詩のことばならぐっと近づける気がする。杉﨑さんの歌を読むと、私も宇宙の一部だと感じるんです。それからはるか遠い昔とのつながりも。朝食の紅茶やぶどうパン、夜のポストやエレベーターに、思いもかけない感情のきらめきが宿っている。

“アテンション・プリーズ散歩のみちに遭う一つの雲のこんな優しさ”

とても親密であたたかな光を帯びた歌。ひらがなと漢字、カタカナの絶妙な配列。短歌とはこんなにも心楽しい、自由なものだとあらためて思う。

以前ご紹介した第一歌集『食卓の音楽』もぜひ。

パン屋のパンセの「朝時間」は、「鳥の天国」より。
どんな小糠雨よりうつくしい朝のセロリーに振りかける塩

Love, まっこリ〜ナ

 

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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