BONBON125

今日のカフェボンボンは、歌集『食卓の音楽』

まるい食卓、四角い食卓、いびつな食卓……。
食卓の上で言葉が踊る。

『パン屋のパンセ』で知られる歌人・杉﨑恒夫は、
天文台に勤めながら、短歌を詠み続けました。

みずみずしい感性あふれる幻の第一歌集です。


20131113

歌集 食卓の音楽 新装版
著者:杉﨑恒夫
出版社:六花書林

“くだものの皮ほぐれつつくだものの芯にサティのオルゴール鳴り”

りんごやゆで卵のことを歌にしたと思ったら、
その思いは一気にはるか宇宙へと飛んでゆく。

“脳天へ叩き込まれる三和音、冬はじめてのオリオン星座”

軽やかで自由自在。
そして、弦楽器の音色のように深い調べ。

“楽器にはない進化論いつの世もチェロはやさしいびてい骨もつ”

たしかにチェロのやわらかい曲線はひとの体と似てる!
私はこの歌が好きです。

星を愛したひとが奏でるうたが、鳥の声や雨の音、
蜂蜜の甘さやレモンの匂いとともに届きます。

食卓の音楽の「朝時間」は、「楕円の食卓」より。
“彗星のマップ延べつつ長楕円軌道に朝のパン屑こぼす”

五感が研ぎ澄まされる歌を、
晩秋の朝に。

Love, まっこリ〜ナ

 

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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