今日のカフェボンボンは、歌集『食卓の音楽』。
まるい食卓、四角い食卓、いびつな食卓……。
食卓の上で言葉が踊る。
『パン屋のパンセ』で知られる歌人・杉﨑恒夫は、
天文台に勤めながら、短歌を詠み続けました。
みずみずしい感性あふれる幻の第一歌集です。
『歌集 食卓の音楽 新装版』
著者:杉﨑恒夫
出版社:六花書林
“くだものの皮ほぐれつつくだものの芯にサティのオルゴール鳴り”
りんごやゆで卵のことを歌にしたと思ったら、
その思いは一気にはるか宇宙へと飛んでゆく。
“脳天へ叩き込まれる三和音、冬はじめてのオリオン星座”
軽やかで自由自在。
そして、弦楽器の音色のように深い調べ。
“楽器にはない進化論いつの世もチェロはやさしいびてい骨もつ”
たしかにチェロのやわらかい曲線はひとの体と似てる!
私はこの歌が好きです。
星を愛したひとが奏でるうたが、鳥の声や雨の音、
蜂蜜の甘さやレモンの匂いとともに届きます。
食卓の音楽の「朝時間」は、「楕円の食卓」より。
“彗星のマップ延べつつ長楕円軌道に朝のパン屑こぼす”
五感が研ぎ澄まされる歌を、
晩秋の朝に。
Love, まっこリ〜ナ