(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 7は、再び、主人公紗季の元恋人である真司の視点でストーリーが展開します!)
Vol.45 Week 7 「世界で一番大切にしたいひとは?」 (3)一生に大切にする
どうすれば、大切にできるだろうか。将来の伴侶を得て、一生大切にするとはどういうことなのだろうか。
紗季に惹かれたのは、日本で同じ部署にいた時からだった。
紗季は、バリバリ働く上に、英会話のスクール、社外のマーケティングセミナーや交流会やらに出かけていて、本当に忙しく充実していたようだったし、僕のことなど全く見えていないようだった。
僕は20代最後の年で、少し焦りを感じていたからか、紗季のようにバリバリ働く女性、しかも後輩が少し怖くて、甘えてくれるような女の子によく手を出していた。
紗季は、そんな調子を僕に、
「チャラ井さん」
とあだ名をつけてからかってきた。
「女の子に手を出す前に、ジャパンエクスポのアプライに手をつけてくださいよ!」
と冗談まじりに話していたことが懐かしい。
ニューヨーク出店の前にも、ジャパンエクスポに出展したのだ。僕たちはそのプロジェクトで一緒になったのだ。
「はいはい、新城選手!」
僕は、人気野球選手の名前であり、プロアスリートのように追い込む紗季のことを、そう呼んでいた。
そんなやりとりを繰りかえす僕たちのことを、周りはテンポの合う2人と思っていたようだが、あの頃の僕と紗季は、水と油の関係だと思っていた。
一緒に仕事するうち、僕は、紗季を心から尊敬するようになった。未熟な僕は、そのことを口にしたら、情けなさが浮き彫りになる気がして、ずっとからかい続けたのだが。
ジャパンエクスポの結果に手応えがあり、社長がニューヨーク出店を決めた時、白羽の矢が当たったのが、僕と紗季だった。
紗季は念願の海外進出でワクワクしていたし、僕もいつかは海外へという意識があったので、嬉しかった。でも、紗季のワクワクを横目に、僕は海外勤務に不安を感じていた。
ニューヨークでは、意外な結果が待っていたのだ。
不安だった僕は、意外にもうまく現地でコミュニケーションが取れ、ワクワクしていた紗季は、カルチャーショックが大きく、うまくいかないことが増えた。
いつも意気揚々としていた紗季が、不安な表情を見せることが増え、僕との立場が逆転した。
僕は、そんな紗季をフォローするうち、可愛いと思うようになったのだ。
紗季も僕に素直に頼るようになっていた。
ある日二人で店舗での棚卸し作業をしながら、僕たちはキスをした。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「すきのポーズ」
Week 7のおすすめは「すきのポーズ」。
上半身の柔軟性を高めるだけでなく、内臓や神経にも刺激を与える万能のポーズ。ヨガのフローの終盤で取り入れることが多いポーズです。脊柱に刺激を与えます。
「すきのポーズ」の流れ
- 仰向けになり、背中をゆかにぴったりつけて、両足を胴体に近づける。
- 腰を持ち上げ、足を頭上に運び、床に足先を落とす。腰があがるように手でサポートする。
- サポートしている手をはずし、床にぴったりとつける。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。