【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.5】Week 1(5)調子のよい後輩

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。)

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Vol.5 Week 1 「再会と新しい出会い」 (5)調子のよい後輩

呼吸を乱さないよう努めて、アレックスにハグをすると、これからもヨガをする最高のパートナーで、わたしの大切な場所をくれてありがとうとアレックスに英語で伝えた。

英語を話すわたしは、シンプルになれる。ずっと演技をしているかのように、美しくその場を創りこめる。アレックスの顔をしっかり見つめて、そう伝えると、すぐに帰る準備をした。

アレックスは、今日2回目の気持ちのこもったハグをくれた。

そんな心地の良い圧は、ヨガをしているからなのか、本当に愛してくれるからなのか、身体が緩むと同時に心も溶けてしまいそうだけれど、正気を保った。

アレックスは、納得いっていない表情としぐさをして「僕は君を邪魔したいわけじゃないから」といってわたしを送り出した。彼のプライドだ。

わたしも30歳。カジュアルに大人の恋愛をしてもいい。不器用なわたしにとって、本当に大切な場所を失う辛さを思えば、少し冷静になる必要があるのだ。

どう考えても、アレックスとはうまくいきっこない。

「紗希さん、おはようございます」

「あ、しおり、おはよう」

「あれ、今日ってヨガお休みですよね?」

「あ、うん、そうだよ、なんで?」

「紗希さん、ヨガしてきました、って顔に見えたから」

しおりは勘がいい。

「ちょっと時間あったから、ウチでヨガしてきたよ」

えらいでしょう?って顔をして、いつものように、しおりの頭に手をやり、よしよしという、しぐさをした。

しおりは、会社のかわいい後輩だ。アレックスのヨガスタジオを紹介し、それから一緒にヨガをする仲間でもある。

「今日はアレックスに会えなくて朝の気合いが入りませんよぉ」

いまどき、こんな子猫のような子いるのか、というほど、甘え上手なしおり。

社内では、擁護派と嫌悪派と二分されているけど、わたしは、こういうかわいい子をほおっておけない。“紗希さん、紗希さん”と寄ってきてくれると、かわいくてしょうがないのだ。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「ダウンドック」

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Week 1のおすすめは、ダウンドック(下を向いた犬のポーズ)。ダウンドックはヨガの代表的なポーズで、身体の後ろ側が伸び、めぐりが良くなるだけでなく、心が疲れている時、力を抜きたいとき、全身が固まっている時に最適。吐く息に注目しながら、一定時間このまま静止すると、心も落ち着いてきます。

「ダウンドック」ポーズの流れ

  1. アップ・ドッグの姿勢から、足の指を立てる。6ku2r5635
  2. 息を吐きながら「く」の字をつくるようなイメージで両手・両足を伸ばし、お尻を高く持ち上げる。7ku2r5636
  3. 両手の平全体・両足の指の付け根に均等に体重を落とすようにする。
  4. 首・肩の力を抜き、背中・腰を気持ちよく伸ばす。
  5. 太ももの内側を意識し、後ろへ押すようなイメージで内転させる。
  6. ここで5呼吸キープ。

(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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