【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】2章「欲望の先に」Vol.18 身体が喜ぶこと

 

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ステーキハウスを出て歩いて帰るという由加利の背中を見ながら、異様にむしゃくしゃした。

六本木の高層マンションに向かう由加利と、これから地下7階にも及ぶ大江戸線の六本木駅を下る私。

由加利が悪いのではない。

何も反論できない、何もできない自分の情けなさに対して打ち手がない。

裕也のLINEが来ているのは分かったけれど、既読にならないようにメッセージを見なかった。

私は衝動的に買ったポテトチップスを一気に頬張った。

———気持ち悪い。

最近ナチュラルフードが多かったせいで、身体が受け付けなくなっているかも。

翌朝何も食べられずに出勤すると、デスクに、最近話題になっていた北欧発のスムージードリンクが置いてあった。「パンのお礼」と付箋がはってある。

————この字は伊藤さん?

私は伊藤さんに軽くおじぎをしながら微笑んだ。

いいことをするのと、いいものを飲むのは、身体が喜ぶんだ。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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