【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】2章「欲望の先に」Vol.17 暮らす世界が違う

 

vol17

由加利の饒舌さは加速していく。

「その人の顔や身体のラインを見れば、どんな暮らしをしているかは分かる。

見た目にすべて現れる、見た目で決めるなと言っている人こそ浅いのよ」

由加利の言うことは至極最もだが、でも、友人との会話にそんな話は望んでいない。

「奈美はさ、それほど人生に成功とか、認められたいとか、求めてないんだよ。それならそれでいいと思う」

「30になって流石に、このままじゃダメかなって思い始めて。

まずはダイエットね、へへへ」

私は早くこの話題を切り上げようと笑って見せた。由加利は、一瞬私の顔を見て、静止してから言う。

「じゃあ、トレーナーを紹介するわ。痩せたい!と思っている人はたいてい自分だけで管理できないの。成功したいならプロを雇った方が賢明よ」

雇う?

とてもじゃないけど、私の給料で雇えるはずがない。

悔しいけれど、由加利に、裕也という伴走者がいるということも話すことができなかった。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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