【朝の小説:シンデレラの朝ごはん】1章「裏通りの午後」Vol.8 ネガティブな励まし

 

vol8

身体が冷えてきて、お開きになった。

家についてシャワーを浴びて気付いた。つい、自分のことばかり話して、裕也がいまどうしてここにいるかも全く分からないままだ。申し訳ないことをしたと思った。

繋がったばかりのLINEでお礼とお詫びを入れ、その日は早く寝ることにした。

「デブ」

寝る前にリフレインする。

10年で貯めた15kgのぜい肉を落とせるのか、そもそもなんだって長続きしないのが私の性だというのに。

裕也の助言に従えば、明日の朝、大好きなパンを控えなければいけない。ぼおっと考えていた時、裕也から返信メッセージが届いた。

「実はオレも落ち込んでいたから 奈美に会えて、なんだか元気になったよ 不謹慎だったらごめん」

彼らしい励まし方だ。そうそう、ちょっとネガティブなのが彼らしい。

「明日朝はスムージーね」

そのあと、「絶対!」というスタンプとともに送られてきて、眠気に教われていた私は、「はい」と思うだけ思って、眠りについた。

 

(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。

結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。

森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。

近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。

遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。

伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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