身体が冷えてきて、お開きになった。
家についてシャワーを浴びて気付いた。つい、自分のことばかり話して、裕也がいまどうしてここにいるかも全く分からないままだ。申し訳ないことをしたと思った。
繋がったばかりのLINEでお礼とお詫びを入れ、その日は早く寝ることにした。
「デブ」
寝る前にリフレインする。
10年で貯めた15kgのぜい肉を落とせるのか、そもそもなんだって長続きしないのが私の性だというのに。
裕也の助言に従えば、明日の朝、大好きなパンを控えなければいけない。ぼおっと考えていた時、裕也から返信メッセージが届いた。
「実はオレも落ち込んでいたから 奈美に会えて、なんだか元気になったよ 不謹慎だったらごめん」
彼らしい励まし方だ。そうそう、ちょっとネガティブなのが彼らしい。
「明日朝はスムージーね」
そのあと、「絶対!」というスタンプとともに送られてきて、眠気に教われていた私は、「はい」と思うだけ思って、眠りについた。
(この小説は、毎朝5時更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
佐藤奈美(30)特許取得を専門とする弁理士事務所に勤める事務員。
結城紗江(30)中堅劇団の舞台女優。奈美と大学サークルの同期。
森野由加利(30)投資銀行に勤めるキャリアウーマン。奈美と大学サークルの同期。
近藤安子(30)専業主婦。一児の母。奈美と大学サークルの同期。
遠野裕也(30)紗江の大学時代の恋人。
伊藤慶太(34)奈美の行きつけの美容室のスタイリスト。