それから半年は、早起き生活が続けられている。行動を変えなくては、気持ちも変わらないから。
そして、フラワーアレンジメントのディプロマも、最後の試験を受けるだけになっていた。
最後は課題の多さにくじけそうになったけど、続けてこられて良かった。
試験をクリアしたら、銀行員を続けながら、先生のアシスタントをさせてもらうことになっている。
追い込みで勉強をしていたとき、電話が鳴った。
雪乃だ。
深呼吸をして、電話をとる
「もしもしーーー」
息が止まりそうなほど、緊張した。
緊張したということは、相手が大事だからだ。きっと雪乃もそう思っているのだろう、そう思えた。
雪乃は、泣きながら「ごめん」を繰り返した。
高校の時のこと。そして、わたしが連絡を絶ってなお、藤井君と関係を続けたと。
でも、倫太郎が好きなのは、自分じゃない。
———萌乃、あなたよ。
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。