心を揺さぶられ続けてちょっと疲れていた。
学生の頃、1人でバーにいけるような格好いい女性になりたいって思っていたけど、結局一度も行かぬまま、28歳になった。
それは、必要がなかったからだ。
今日は、初めてバーに来た。正真正銘、寂しさを癒しに。
本当に独り身の時は、それほど寂しくない。
求めてくれる人がいる。なのに、自分の気持ちが分からない。
大好きな友達がいる。なのに、本音は話せない。
誰にも自分の気持ちを打ち明けられないとき、本当に寂しいのだと知った。
「ジントニック」
カウンターに座りしなに言い放った。
この間見た映画で、ひたすら出てきたから知っていただけ。こういう場では、フリだって見破られそうだ。
「ぼくも、ジントニックで」
隣にいたのは・・・
どうして、ここにいるの?
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。