「はあ」
ため息をついた。でも、心のどこかで望んでいたことだ。
裏腹な気持ちを見破られないよう、ジントニックをゴクゴク飲んでしまった。
藤井君の前で悪態をつくのは、本意ではないけど、もう後に引けなかった。
「雪乃も来るの?」
「いや、来ない」
「そう・・・」
彼は誤解していると言った。雪乃のことは好きだけど、ステディじゃないと。
「何をすかしたコト言ってるの。そんなのわたしの好きな藤井君じゃない」
すぐに、酔いに気がついたが、後の祭りだ。
「なんちゃってね。あ、高校の時、好きだったんだけどね、ははは、初告白。ジントニックって結講強いんだね」
酔いが回っていた。
「立川、本当は弱いだろ。ジンは強いんだって」
大丈夫か?
目を覚ますと目の前に藤井君がいて、知らない場所にいた。
(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)
物語の登場人物
立川萌乃(もえの) 28歳
静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。
新城雪乃(ゆきの) 28歳
萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。
藤井倫太郎(りんたろう)28歳
萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。
木村ことみ 28歳
萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。
柳原誠士(せいじ)28歳
萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。
近藤裕太(ゆうた)24歳
萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。