【朝の恋愛小説:やっぱり朝は二度寝が好き 】 Vol.35 青春をありがとう

 

【朝の恋愛小説】 Vol.35 青春をありがとう

「や、やっばーい」

床を両手で押して、右後方を向いても時計がない。スマホを見ると、2時を指していた。

「よかったぁ・・・」

一連の動作を見て、大笑いしている藤井君。

「てっきり朝が得意なのかと思ってたけど、苦手なんだな、さては」

「そういう運動神経の良さはいらないんだけど」

すっかり、藤井君に悪態つくようになってしまった。

「ごめんね。タクシーで帰る。ジントニック、ご馳走さまでした。ありがとう」

「待って。さっき言ってたことって本当?」

「なんのこと?」

「高校の時、僕のことが好きだったって」

「そのことか、ごめんね、酔っぱらってて。余計なコト言っちゃって。10年前のこと。
藤井君はモテてたし、気付いてなかったよね。憧れの存在でした。青春をありがとう」

まだ酔いが完全に抜けてない私は、早口で台詞を棒読みするかのように言葉を吐き捨てて、礼をして起き上がると、藤井君にすっぽり包まれていた。

「藤井君、冗談やめてよ」

また、いつの間にか頬に涙がつたった。

(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

立川萌乃(もえの) 28歳

静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。

新城雪乃(ゆきの) 28歳

萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。

藤井倫太郎(りんたろう)28歳

萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。

木村ことみ 28歳

萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。

柳原誠士(せいじ)28歳

萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。

近藤裕太(ゆうた)24歳

萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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