今日のカフェボンボンの本棚は、『いとしいたべもの』。
エッセイスト森下典子の美味しいエッセイをお届けします。身近な食べもの23品の思い出を楽しい絵とともにつづります。
『いとしいたべもの』
著者:森下典子
出版社:文藝春秋
ある食べものを美味しいと思う時、その気持ちの半分以上を占めているのは懐かしさかもしれない。
部活帰りの土曜日の午後。いつも母のチキンライスが楽しみだった。カレーの匂いが呼び覚ますのは夏の夕暮れの気配。ひぐらしの鳴き声や友達の「バイバイ」が聞こえる気がして胸がキュンとする。そんなことを思いながら、23品をゆっくり味わいました。
著者の食の記憶を刺戟する朝のおかゆ、お父さんのお土産の芋ようかん、甘さに溺れたカステラ、カレーパンの空洞の秘密、ラーメンの優しさ。そして、川端康成の『雪国』を思わせる水羊羹。みずみずしく涼やかで色気がこぼれおちる駒子のような……。
“いとしいたべもの”の「朝時間」は、初恋のメロンパン。
レモン色にときめいたあの日です。
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Love, まっこリ〜ナ