おはようございます。ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。
この連載では、『朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本』というテーマで、お金にまつわるコラムをお届けします。
さて、「扶養の壁」という言葉を耳にしたことはありますか?
働く妻(夫)が夫(妻)の扶養に入る働き方をする際、収入がいくらまでなら税金が不要か、社会保険に入らなくてもよいか、その限度額を「扶養の壁」と言います。
今日は、この「扶養の壁」をテーマに、専業主婦が扶養に入ることのメリットについて考えてみましょう。
扶養に入ることで年金保険料はいくらトク?
日本の年金は「日本に住む20歳以上」の人全員に加入が義務付けられ、3つの被保険者に分けられます。
- 第一号被保険者 自営業、学生、無職
- 第二号被保険者 給与をもらう人(公務員を含む)
- 第三号被保険者 第二号の扶養の範囲で働くか働いていない主婦(主夫)
国民年金は、20歳から60歳までの40年間納付することによって、65歳から年金受給できます。
毎年保険料、年金額は変更され、令和5年度は保険料が月1万6,520円です。
受け取れる年金額は、一年あたり79万8,240円。一カ月当たり6万6,520円となっています。
これは、国民年金のみの場合で、上の被保険者のうち、第一号、第三号被保険者が未納なしで保険料を納めた場合、この金額になります。
もちろん途中で支払い免除してもらったり、未納があった場合は減額されます。
次に、第二号被保険者は、厚生年金が上乗せされ、働いた期間といくらの年金を負担していたかによって受給額が一人ひとり異なります。
そして、第三号被保険者は、扶養に入っているため、国民年金の保険料負担は不要です。
例えば30歳から60歳まで扶養に入っていた場合、1万6,520円×12ヶ月×30年=594万7,200円が免除になります。(毎年保険料は変更になるため、令和5年の保険料が30年続くしています)
壁を超えて働くほうがオトクなことも…
受け取れる年金額は年間約79万で少ないと思うかもしれませんが、主婦はこのケースなら約594万円払わずとも年金が受け取れる権利を確保できるので、オトクといえます。
しかし、扶養をはずれて自分で社会保険に入ることで(つまり、扶養の壁を超えて働き、より多くの収入を得ることで)、将来自分がもらえる年金額が大きくなったり、ケガや病気で働けなくなった時に傷病手当金がお給料の2/3ももらえるなどメリットも多くあります。
春は新生活シーズン。ライフスタイルや働き方を見直す時期でもあります。この機会に年金の仕組みをおさらいし、改めて働き方を考えてみてはいかがでしょうか?